大失敗、大反省 [給料袋メッセージ 69]

【大失敗、大反省】
きょうは給料日。給料袋の社長メッセージを書きました。通算69号です。
今月は正月早々、大ケガをしてしまいました。
気の緩みと不摂生によるもの。そこから大いに反省しました。

 

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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ

 

今月は大いなる反省の文章になります。

 

今月十五日の夜、私は酒に酔って転倒し、大ケガをしてしまいました。

いけないことなのですが酒に酔いながら自転車に乗っていました。

同行の友人が徒歩だったのでスピードこそ出ていなかったと思うのですが、転倒した前後のことを全く覚えていないほどの酩酊状態でした。

顔を拭ったコートの袖に血がついたのを見て我に返りました。

転んだ際に眼鏡のレンズが割れて右の眼球を傷つけていました。

友人が救急車を呼んでくれて病院を二軒はしごすることに。

応急処置は深夜まで及び、その間に友人はずっと自宅にいる私の妻に逐一の報告を入れてくれました。

彼が私を自宅まで送り届けてくれた時はもう午前四時頃でした。

翌朝すぐに眼科医院で診てもらうと結膜(白目)までが切れており、縫合していただきました。

この文章を書いている今も若干の違和感は残り、目がうるんでいるので見えにくさはあるのですが、ちゃんと見えております。

 

この間を振り返って思うのは、あきれるほどの我が身の運の強さです。

転倒して負傷しても痛さを感じないほどに酩酊していたわけですから、もし友人と別れた後ならば車にひかれていたかもしれませんし、逆に加害者になっていたかもしれません。

破損したレンズで傷をつけてしまった眼球にしても、よくもこの程度で済んだものです。

運が悪ければ右目を無くしていたかもしれませんし、両目がそうなっていたとしても不思議ではありません。

もし打ち所が悪ければ、などと考え出せばキリがありません。

 

私はこの会社の経営を預かる大事な立場であるのに、なんと軽はずみなことをしたのかと、いまさらながら大いに反省しています。

私は会社をよく大型バスに譬え、乗客は社員とその家族と表現しています。

そんな大事なハンドルを預かる身であると認識していたはずなのに、まったくうかつな酒の飲み方でした。

 

それにしてもこの顛末を考えると、私はなんと幸運に恵まれたものかと感謝の念を禁じえません。

まず同行の友人の手厚い救護がありました。

彼の助けがなければどうなっていたことでしょうか。

 

そして救急病院で的確な応急処置をしてもらい、翌日の眼科病院では二人の先生が丁寧に手術してくださいました。

びっくりしたのが手術の治療費です。

社会保険適用とはいえ九千円弱でした。

医療費は高い高いと言われますが、これほどの治療をしていただいてのこの安さ。

本当に驚きます。

日本はいい国だと感謝しました。

 

事故の後、食欲のなかった私に妻が作ってくれたうどん、母のおにぎり。

家族の優しさが身にしみました。

そして会社を休んで寝ていても、社員の皆さんがキッチリと仕事を回してくださっています。

どれほど心強かったことか。
 

今回の事故は不幸中の幸いと思わざるを得ません。

何重もの幸運に助けられて、この程度のケガで済みました。

これは天の警鐘です。

 

私は少なくとも八十二歳まで元気に生きて会社の第百期を見届けなければなりません。

だから禁煙し、減量をし、そして人間ドックの数値も大きく改善しました。

ところが最後に残ったのが飲酒でした。

強いわけでもないのについ大酒になり、そして休肝日というものがありません。

それゆえの中性脂肪を指摘されたばかりでした。

今回の事故は天が私を戒めたのだと思います。

当分、酒は飲めませんし、飲める状態になってももう以前のような無茶はしようと思っても出来ません。

生涯の節制を誓わざるをえない天からの戒めになりました。

 

俗に経営者が成長するきっかけに「三つのT」というのがあるそうです。

倒産、投獄、そして大病。

いずれも嬉しくないことですが、そのような究極の経験をすることで人間的にひと皮むけるという話です。

思えば六年前の大赤字は私自身が大きく変わる転機でした。今回の大ケガもそれに匹敵するほどの人生的な経験になりました。
 

今回の事故で忘れられないのが手術の翌日のことです。

眼帯を外して右目を洗浄してもらい、見える左目を手で覆ってみました。

すると右目だけでちゃんと天井が見えるのです。

よかった。ちゃんと視力がある。

レンズで負傷したという事実から、悪い想像が次々と浮かんできていただけに、この時の安堵感を言葉で言い現すことはできません。

当たり前のことが当たり前であることのありがたさ。自分の体を自分で傷つけてしまったことに親や先祖に申し訳ない思いだっただけに、どうにか右目を失うという事態は免れたという思いでした。

 

さまざまな幸運に感謝して、反省し、あらためての節制を誓います。本当にご心配をおかけしました。

 

二〇一五年一月二十二日  
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三

 

https://www.facebook.com/syouzou.sakamoto/posts/758265907598366

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