何のために働くのか? [給料袋メッセージ 81]

【何のために働くのか】

 

きょうは25日。月給袋のメッセージを書きました。(通巻81号)
先日、兵庫県の高校でお話したことから「何のために働くのか」を考えてみました。

 

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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ

 

いつも社業への貢献、ありがとうございます。

今月は高校生の前でお話しする機会に恵まれました。
「モノづくり企業の実際の話をしてほしい」という依頼でした。
兵庫県立播磨南高校からのもの。

 

「最近の高校生は就職率が悪い」
「就職してもすぐ辞めてしまう」
「アルバイトや派遣社員がほとんど」
「働くということにピンと来ていない」
「生徒達に仕事への興味を持たせてほしい」――。

 

対象は高校1年生らしい。

打ち合わせで「何のために働くのか」を話すことになりました。

振り返ってみると、私自身が高校生のときに、そんなことはまったく考えていませんでした。

 

ただ夢はありました。
「新聞記者になって社会問題を追及したい」という志が芽生えたのは高校時代でした。

その後、実際に記者になったものの理想と現実のギャップに直面し、悩みます。

その頃に大阪の実家から「父が重病」という報せが入ります。

それまでの親不孝を詫び、家業である鋼材会社の3代目を継ぎました。

現実の延長線上に理想を置きなおそう。

そう決めた若い時代の私でした。

そんなプロフィールも話しました。

 

さて、この依頼を受けてから当日までの2日間、何を話すべきか熟考しました。

朝礼では社員の皆さんに相談し、たくさんの知恵をいただきました。

そして社員の実例をもとに「家計を維持することの大事さ、たいへんさ」を高校生に伝えることから始めました。

 

「生まれてからこれまで、皆さんにはどれだけのお金を使ってもらっただろうか。たぶん何百万円にはなると思う。衣食住、それに学費も。お金は要るよね、絶対に」
と、現実の話を切り出しました。

 

「一般的な家庭に必要なお金は1年間にいくら?」
と聞いてみました。
平均で400万円と言われていますが、高校1年生にはピンと来ない数字のようでした。非正規雇用はいまや社会全体の4割になり、その平均年収はざっと200万円らしい。

その男子と女子が結婚して合計400万円ですが、それではどちらかの収入が途絶えればとても不安定です。
「社会保障」の大切さも説明しました。
また、同行してくれた大石君のことにも触れました。

あこがれていたアパレル業界で頑張ったものの「食えない現実」に直面。結婚を機にモノづくり企業である当社に転職してきた実例です。

 

しかし「正社員なら安心」なのでしょうか。いいえ、まったくそうではない現実があります。会社は放っておけばつぶれるもの。

いろんな統計から
「開業して30年後に残っている会社は3%」
「会社の平均寿命は23年」
という数字を紹介しました。

家族がいて住宅ローンも抱えた働き盛りで会社が倒産してしまえばどうなるでしょうか。

でも、企業の平均寿命が23年なら、二十歳前後で就職して定年になるまでに、その会社が残っている可能性のほうが小さい。
「正社員だから安心」と言えるはずもないのです。

 

では「大企業なら安心」でしょうか。
大きな企業、一流と言われている企業でも、必ずしも安泰ではない事実があります。

シャープ、東芝、東京電力・・・。

最近の例だけを見ても、実感します。

 

 
一方で、日本には長く続く会社がたくさん存在します。

創業して百年を超える企業は2万6000社以上。

これは世界一の数字です。
その「長寿企業」を見てみると、社員「10人未満」の会社が全体の62%、売り上げ「10億円以下」が全体の83%。

大きくはないけれども、有名でもないけれども、長く続く会社がたくさんあるという事実。

小さな会社の大きな可能性です。

 

百年企業の実際の名前も紹介しました。
地元の兵庫県では「ヒガシマル醤油」(なんと安土桃山時代の創業)、
「神戸風月堂」「神戸製鋼所」などが有名どころ。
またこの高校近くの明石市には「藤江屋分大」「富士せんべい」といういずれも江戸時代に創業されたお菓子屋があります。
有名でなくとも、大きくもなくとも、百年、二百年とつづく世界の宝のような企業です。
 

皆さんもいずれは社会に出ます。

その時、ご縁があったその仕事をとことん極め、自分が会社の主人公になり、
その会社を「百年続くようにしてほしい」とメッセージしました。

 

これは実は、社員の皆さんからヒントを得たものです。

前君が言いました。
「自分が就いたその仕事を好きになることが大事」。

含蓄のある言葉です。
アチーブメントの青木社長にも「職業以上に自分を磨くものは無い」という格言があります。

 

ラストは「何のために働くのか」つまり「何のために生きるのか」という話をしました。
私を実例にさせてもらいました。

私には、現実を直視せず夢を追っていた時代がありました。

それを許してくれた優しかった父が病で急逝。

私は恩返しすることなく、父に死なれてしまった。

後悔の念でいっぱいでした。

父の葬儀のとき、そんな私にある方が言いました。
「あなたがお父さんから受けた恩を、将来生まれてくるあなたのお子さんに返しなさい」

 

それを「恩送り」と言うことは、ずっと後になって知りました。
父母から、祖父母から、社会の多くの人たちから受けた恩をその人に直接返すのではなく、次の世代に、ほかの人たちに返してゆくこと。

それが「生きる意味」そして「働く意味」の答えの一つなのだと思います。

 

余りにも根源的なテーマなので、私自身が消化不良。

高校生の皆さんに伝わったかどうか自信はありません。

もし少しでも心に残ったのならば幸いです。貴重な機会をいただけたことに感謝します。

 

2015年11月25日
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三

 

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