第100号! [給料袋メッセージ 100]

【第100号!】

毎月の給料袋に入れるメッセージ、きょうで第100号になりました。2010年4月から始めて約7年。毎月24-25日の給料日が近づくと「今月は何を書こうか?」とネタ探しに苦しんでおりますが、続けてきたことが多少の自信になりました。
やってよかった!これからも続けます!
(通算第100号)

 

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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ

 

いつも社業への貢献、ありがとうございます。
毎月お読みいただいているこの給料袋メッセージが今月で第百号となりました。そこで、少し昔を振り返ってみます。

 

このメッセージを入れ始めたのが2010年4月。リーマンショック後の大赤字でたいへんな苦境だったころです。私はそれまで経営の勉強をおろそかにしていたことに気づき、一年間掛けて経営を学ぶ「なにわあきんど塾」に通っていました。その最終講義(2010年2月)に出てこられたのがお好み焼き「千房」の中井政嗣社長でした。町の小さなお好み焼き屋からスタートして全国チェーンに育てられた、なにわの名物社長です。企業発展の原動力となったのが人材採用と育成だったと語られました。

 

「良い人材は大企業に行ってしまう。だから我々は来てくれた人に感謝して人財に育てなければならない」
「比べず、あせらず、あきらめず」
「中小企業は教育産業です」

 

その力強い言葉を、昨日のことのようにありありと思い出します。中井社長が会社経営の一環として「給料袋の手紙」を毎月書き、社員にメッセージし続けられていることを知りました。その時ですでに二十年ほども続いていました。会社の目指す方向性、こんな会社にしたい、大切にしたい考え方。社員をほめることも。今月は●●君が頑張ってくれた、○○さんがこんないい働き方をしてくれた、などと一人一人の社員にも向き合われました。毎月毎月のメッセージ、すごいなと思いました。中井社長はこうおっしゃいました。

 

「良いことはマネでもいいから続けなさい。続けると本物になる」
「でけへん人ほど、やりなさい」
「うそでもええから、やってみる」
「建前を実行する。実行を本音とする」
「心にもないことをする。そこに心が乗ってゆく」

 

苦境にあった私にこれらの言葉が響きました。大赤字の真っ只中。良いと言われることは何でもやる、と必死のパッチでした。そこで、翌々月になる4月給与から書き始めました。久しぶりにその7年前の文章を読んでみました。少し長くなりますが、全文を再掲してみます。

 

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社員の皆さんへ

 

いつも会社への貢献、ありがとうございます。

 

本年度から毎月1回、会社の中のことや仕事をめぐってのことを書き、給料袋に入れてゆこうと思います。できればご家族の皆さんにもご回覧して会社のことを話題にしてください。

 

ご家族の皆さんには「初めまして」となる方も多いかと思います。私が先代社長のあとを継いでから11年目になります。この11年間、なんとか社業を続けてこれたのは社員さんのご協力、そして社員さんを支えてくださったご家族の存在があったからこそと、あらためて感謝を申し上げます。

 

私にとって社長10年目だった昨年は、ご承知の通り世の中の景気が大変悪くなり、わが社の業績も低迷しました。給料は増えず賞与も減ってしまうなど、皆様にもたいへんなご不便をお掛けしました。申し訳ありません。

 

厳しい状況に直面して改めて思いました。「景気の好し悪しに左右されない丈夫な会社を作るにはどうしたらよいのか?」

 

わが社はまだまだ小さな会社です。大きな会社が仕掛けてくる価格競争は恐ろしいものです。お金も在庫もたくさんあり設備も充実している大企業に負けないためにはどうすればよいのでしょうか。毎日毎日、そのことを考え続けました。

 

そして得た結論はこうです。社員一人ひとりが持てる力を出し切り、お客を感動させること以外にない、ということです。

 

皆さんは縁あってわが社で働いてくださっています。そんな一人ひとりが与えられた職場の中で全力を尽くし、持てる能力を伸ばし、人間としても成長してゆく。そのような社員が精魂こめて製品を作り、その品質の良さがお客に評価される。立派な社員の素晴らしい態度や心のこもった受け応えがお客を感動させる。そんな流れがずっと継続する。そうなれば、お客は行列を作ってでも買いに来て下さいます。そうして初めて、安易な価格競争から逃れることができるのではないか。

 

そのためには私たち一人ひとりが目標を高く持って成長するしかありません。すると会社が潤い、丈夫になります。皆さんには給料やボーナスで報いることができます。そして、お金だけでなく「働いてよかった」という充実感が生まれるでしょう。人生が豊かになります。こんな素晴らしいことはありません。わが社の社員は皆がそんな充実した人生を送らねばなりません。そのために私はどんな努力も惜しみません。それが社長としての私の最大の任務だと考えるようになりました。

 

昨年の正月から毎朝、朝礼を行っています。今年からは月1回の学習会も始めました。ゆくゆくは泊まり込みの合宿研修も行いたいと思っています。いろんな取り組みを通じて、一人ひとりの成長を図っていきます。もちろん社長の私が先頭を切って成長せねばなりません。ともに学び、ともに働いてゆく中でお互いに成長し、会社を立派なものにしていきましょう。そして、どんな不況が来てもびくともしない丈夫な会社を作りましょう。どうぞよろしくお願いします。

 

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「言っていると本当になる」とよく言われますが、7年前に考えたことが、徐々に徐々に実現に向かってきています。先日のJSKセミナーでも勉強したように、会社の経営数値は大幅に改善しました。自己資本比率、総資産経常利益率、それらを掛け合わせた「企業体力」が驚異的に向上しました。鉄鋼業界、溶断業界にあって、規模は大きくなくとも存在感を誇れるようになったのではないでしょうか。

 

そして、やっぱり嬉しいのがお客さんから「いい仕事をしている」とほめられることです。「家業から企業に脱皮されましたね」(A社さん)、「坂元鋼材さんの社員さんは対応が気持ち良い。よそとはちょっと違う」(B社さん)など、お客さんから仕事や社員をほめられることほど社長冥利に尽きることはありません。

 

しかし、世の中にはもっともっと立派な企業がたくさんあります。「企業体力」ひとつをとっても、我が社は「優良企業平均」にはまだ届いていません。一つ一つの仕事に心を込めて、もっともっとお役に立つ会社、どんな不況が来てもびくともしない会社にしてまいりましょう。

 

今月もお読み頂き、ありがとうございました。

 

2017年2月24日 
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三