娘が教えてくれること その2 [給料袋メッセージ110]

【娘が教えてくれること その2】 

 

きょうは25日。給料袋のメッセージを書きました。娘の何気ないひと言から、働くことの意味を教えられました。
(通算110号)

 

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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ

 

ようやく涼しい好季節になりました。今期は上半期が少しゆっくりした業況でしたが、この10月に入ると急に忙しくなりました。下半期、巻き返しましょう。先日の工場BBQでいただいた「松阪牛」は、前年度の好業績を讃えて税理士の上能先生が贈ってくださった記念品でした。最高のお肉を賞味できました。今期もまた基準以上の利益を出して、また皆で美味しいお肉を頂きたいものです。

 

とは書いたものの、やはり利益は求めるものではなくて「結果」のような気がします。景気や鉄鋼相場の好し悪しも関係します。それに「カネ」を追って仕事をするとロクなことはない。世間を騒がせる企業の不祥事は、結局はカネ(目先の利益)を追いすぎた報いに思えます。そうでなく「人のお役にたちたい」という思いを積み重ねること。その結果が利益(経済的な祝福)として与えられるのだと考えた方がよさそうです。

 

リーマンショック以後のがんばりの結果、会社の財務状況は見違えるほど良くなりました(9月には自己資本比率が50%を超えました)。目先の利益に一喜一憂するのでなく、一つ一つの仕事にさらに魂を込めたいと思います。

 

利益は目的ではなく結果。ずっと進めている経営理念の刷新にも通じますが「なんのために働くのか」ということを考えてみます。これは、会社ホームページにある社員紹介欄で皆さんが述べている言葉にヒントがあります。

 

「仕事をしていてやりがいを感じるときはどんなときですか」という質問への回答です。

 

「お客様が笑顔を見せてくれた時です。この仕事をしていて『お役にたてて良かった』と感じます」
(荒川さん)

 

「難しい仕事を精度高くキチンと仕上げた時です。形が複雑なもの、扱いに注意が必要な小穴があるもの、2工程に渡る手間のかかる仕事など『他社がやりたがらないような仕事』でお客様に喜んでもらえた時のやりがいは格別です。お客様のお急ぎにお応えして喜んでもらったときも本当にうれしいです」
(吉山さん)

 

「出荷する際にお客さんに喜んでもらえるのが、とても嬉しい瞬間です」
(三宅君)

 

「やはりお客様に『ありがとう』と言っていただけたときには大きなやりがいを感じます」
(河野君)

 

「『丁寧にありがとう』とほめて頂いたときにはとても嬉しく思いました」
(脇田さん)

 

本当に、驚くほど共通しています。これを見ていると、私たちは「人を喜ばせること」そして「ありがとう」の一言のために働いているのではないか、と思えてきます。

 

もう1年半も経ちましたが、昨年の春に糸井さんが定年退職されました。その際にはいろんなお客さんが糸井さんの勤続30年をねぎらいに来てくれました。なかでもA鋼材さんは、営業のBさんとCさんが、わざわざ花束を持ってごあいさつに来て下さいました。添えられていたメッセージです。

 

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永い間、本当にありがとうございました。30年もの間、坂元鋼材さんでご奉仕されてこられたことに心より敬意を表したいと思います。これからもお元気で第二の人生を楽しんでください。僕たちも糸井さんのことはずっと忘れないでしょう。
株式会社A鋼材 営業部・配送部一同
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拝読して、私も胸に迫るものを感じました。これは糸井さんにとっては恐らく「心の退職金」のような一生の宝のような手紙だったと思います。いくらお金を積んでも買えるものではない、プライスレスなものでした。「働く意味」を考えるとき、これからもこのA鋼材さんの手紙は、私にとっての原点となり続けます。
前にもご紹介した大久保秀夫氏(株式会社フォーバル会長)の言葉が、このあたりのことを言い当てています。

 

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お客様からの「ありがとう」の結果が利益。社員には「お客様に『ありがとう』を言ってもらって来い」と常に言うこと。「ありがとう」と言ってくれる人をいかに増やすか。ライバルは同業他社じゃない。目の前にいるお客様だ。その結果が「行列のできる」お店であり会社。お客様に心底から感謝されれば、利益は面白いようについて来る。金魚すくいと同じで、すくおうとすると利益は逃げる。儲けようとするから、儲からない。お金を追うとお金は逃げる。ビジネスは「ありがとう争奪戦」である。           (講義メモより)
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さて、今月も娘の晴花の話を少し。半年ほど前のこと、幼稚園の友達やママ達と一緒に「手打ちウドン教室」に行ってきました。子供たちが小麦粉をこねて、足で踏んで練って、自家製のウドンを作りました。持ち帰ってきたそのウドンは短かったり太さがバラバラだったり。しかし食べてみると、ツルツル、シコシコ。びっくりするくらいに美味しい。

 

「はるちゃん、スゴイなあ、美味しいわ、ありがとう」と私。すると娘はめっちゃ喜んでひとこと。
「パパ。ありがとうと言ってくれてありがとう」

 

うーん、こんな小さな子供(当時5歳)ですら、人からの感謝がこれほど嬉しいとは。これが人間の欲求のひとつなのかも。仕事をする理念(最終目的)は、やはりこのあたりにあるのかと思います。
 
今月も社業への貢献、ありがとうございます。

 

2017年10月25日              
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三