【出版を志す】
いつか経営体験をまとめて出版したい。そんな願望の実現に着手しました。
[通算211号]
■■■■■
社員の皆さん、ご家族の皆さんへ
今年の上半期はレーザー加工機の選定、新工場レイアウト、
さらにコーポレートスタンダード作成などで多忙を極めたのですが、
それに加えて4月から新しい学びを始めていました。
アチーブメント社の提供する「出版戦略塾」。
プロ編集者による徹底的な指導により商業出版を目指すもの。
今年から開講したので第1期です。
これまでに書き溜めたものをいずれは出版したいという願いが私にはあります。
「まだ早い」と一瞬はためらいましたが、その第1期に飛び込みました。
全国から20人の同志が集っています。
塾長はいくつものベストセラーを手掛けたプロ中のプロの編集者。
そのメッセージの一つ一つが腹に響いています。
・ 「私は世の中の役に立つ本を書く!」と決意する。
本を書く前のあなたと、本を書き終えたあなたは、まったく別の人間になる。
なぜなら自分の人生と本業に向き合わざるを得ないから。
そこから紡ぎだされた言葉は、ひとを動かす。
・ 本を書くことを通して自分のビジネスのレベルが変わる。
ちゃんとした志に立脚すれば、それが起こる。
・ 人生で一番伝えたいことは何ですか?
それにお金を出し、時間をかけてでも読みたい人は何人いますか?
これを真剣に考える。
・ 大事なのは、本に値する言葉・本に値する文章を持っていること。
このようなメッセージを浴び続け、だんだんと出版に至る「覚悟」を固めています。
■ 小さな会社の生き残り戦略
出版戦略塾・第1期の同期生20人は経営者が多いのですが、
医師、税理士、俳優、シングルマザー、跡継ぎなど、
さまざまなプロフィールを持った方々です。
一人ひとりが自分自身の人生背景や職業を土台として本に取り組んでいます。
さて、私は何をテーマに書くべきか。
自分自身の人生を下敷きにして私が世に問えることがあるなら、なんだろうか。
やはり、「小さな会社の成功法則」であり「小さな会社の生き残り戦略」
のようなテーマにならざるを得ません。
父の急な他界により29歳の素人がいきなり経営者になってしまった。
先代の不在・不景気・未経験という3重苦からスタート。
10年間の我流経営で会社を迷走させ、決定打はリーマンショックによる大赤字でした。
そこが転機でした。
良い経営を目指してさまざまな学びに手を出し、
そのなかで小さな会社が成功するための法則をいくつも得ました。
結果、社員数や規模こそ変わらぬものの利益が大きく伸び、財務体質は一変しました。
リーマンショック後は15年連続の黒字となり、自己資本は8倍になりました。
これから新工場2棟を建設する予定ですが、この15年の変革なしにはあり得ないことでした。
■ 私の伝えたいこと
我流経営で失敗した10年間、そして経営の原理原則を学んで実践し続けた15年間。
その対比から経営にとって大切なことをまとめたい。それは次のような内容です。
・ 経営の目的を明確にし、腑に落とし切ること
・ バランスシートを読み込み、BS目標を決めること
・ 時間の使い方を変えること
・ 少数精鋭で筋肉質の組織にすること
・ メンバーの願望が実現する組織づくり
・ 勝負できる強みを磨くこと
・ 永続企業への方策
これらはアチーブメントの青木仁志社長、そしてBS経営塾の故・木村勝男会長という2人の師から示された企業経営の成功法則がベースになっています。
社員の皆さんには察しが付く通りです。
日本には350万社以上の会社があると言われ、その99%以上が中小企業。
さらに「社員20人以下の会社」はその9割に上ります。
つまり無数の「小さな会社」で日本社会は成り立っています。
自分がやってきたことしか人には伝えられない。
ならば、この世界に伝えることは出来るのではないか。
■ 「それを伝えるに値する人間ですか?」
しかし、です。出版塾の個別面談でテーマ設定を終えた時でした。
塾長がポツリとつぶやきました。
「坂元さん、あなたはそのテーマを伝えるに値する人間ですか?」
うーん、これほど自己評価を促される言葉はありません。
私「ごとき」がこんな大きなテーマを世に問うてよいのか。
出版塾はあと1カ月を残すのみ。
テーマは決まった、構成も整ってきた。
ところが最も大きな壁は、自分自身の自己概念。
すなわち「自分に対する思い込み」です。
この壁を乗り越えるのに四苦八苦しています。
■ 自我の壁を超える
アチーブメントで教えられる「能力開発の5段階」というものがあります。
学習による技術習得は、次のような段階を踏んでいきます。
① 知る
② 分かる
③ 行う
④ 出来る
⑤ 分かち合う
まず知識レベルの学習を積み重ね「知って・分かった」状態が ①② の段階。
そこから行動レベルで実践し、技術がようやく身につくのが ③④ の段階です。
多くの人がこの ④ でストップしてしまいます。
それは当然のことです。
自分が「出来る」ようになるために学び始めたのですから。
この ④ と ⑤ の間にあるのが「自我の壁」と言われます。
学んで良くなったら自分だけのものとせず、他の人々に分かち合うこと。
人格が試されるときです。
この ⑤「分かち合う」という段階に進めるかどうか。
この壁を乗り越えるかどうかが、その後に大きな違いをつくります。
自分ができるようになったら、それを惜しみなく他の人々に伝える側に立つこと。
そんな人々にはたまらない魅力があり、そして素晴らしい人生に入っておられます。
思えば青木仁志社長、故・木村勝男会長、
ほかにもたくさんの先輩や仲間の経営者たちにさまざまなことを教えていただきました。
おかげでいまの私があります。
もし青木社長が1冊も本を書かなかったら、1回も講座を開講しなかったら、
私は人生の目的を知らないままだったに違いありません。
木村会長が「BS経営のススメ」を書かなかったら、BS経営塾を開かなかったら、
私はいまも決算書が読めず、自己資本の重要性も分かっていなかったはずです。
■ 50歳になったら本を書け!
その木村会長が不在となって6年です。
生前、会長は「50歳になったら本を書け!」と私たち塾生によく言っていました。
「文章が上手くなれ、ということではない。
本に書けるような人生を歩め、ということ。
人生のヒストリーを本に書け、ネタを創れ。
苦労、困難、失敗こそが貴重なネタになる。
人生はメークドラマ。
生きてきた道程に宝がある。
ホームドラマやない、大河ドラマの人生を生きろ!」
私は今年55歳になります。経営者としても25年目です。
人生でやり残した宿題として、取り組みます。
ちなみに、木村会長ご自身が初の著書「逆境に勝る師なし」を書かれたのが
65歳のときでした。
「だから私もまだ10年ある」とは思わずに宿題をやり遂げないと・・・
■ 経営者人生の中間報告として
日本社会が無数の小さな会社で構成されているのは上述した通りです。
一つ一つの企業は日本経済という大海原に浮かぶ小舟です。
その海は過去三十年以上、荒れたままです。
日本という社会や経済全体が安定して初めて、個々の企業は健全に発展できます。
私の最終的な目的は、この日本社会の発展に真にお役に立つこと。
私の拙い経営人生において実証したことを書き留めて世に送り出すことは、
その目的に叶うことです。
「それを書くにふさわしい存在か?」――。
ふさわしい存在となるように自分を鍛え、会社を磨きます。
まだまだ人生の折り返し地点です。
経営者としても20年以上は現役を続けます。だから中間報告です。
「小さくとも強くて良い会社」を作り続けることで、世のお役に立ちます。
2024年7月25日
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三