【出版を志す(その2)】
25年間の経営人生から取材して本を作ることを目指しています。
半年かけて「企画書」をまとめましたが、出版の壁は相当に高い。
それにしても、社員の皆さんが日々奮闘してくださっているおかげで
可能になったことばかり。
感謝して書いた今日の給料袋メッセージです。
[通算215号]
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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ
多忙を極めた今年でしたが、出版塾の勉強が加わり
忙しさに拍車がかかったことは以前にも話しました。
きょうはその続きです。
11月初旬、ご縁を頂いた出版社の編集者氏に
面会していただきました。
結論は
「面白い本にはなりそうだけれど、売り方が見えない」
「現時点での出版は、ない」
というものでした。
出版という高い壁への挑戦を現在進行形でお伝えします。
■ 世の中の役に立つ本を書く!
5月から始まったアチーブメント出版戦略塾(第1期)。
「これまで書いたものをいずれ世に問いたい」
という漠然たる思いがありました。
出版塾の教えが私の心に火をつけました。
・ 本を書く前のあなたと書き終えたあなたは、
まったく別の人間になる。
なぜなら、出版を通じて自分の人生・本業に
本気で向き合わざるを得ないから。
そこから紡ぎだされた言葉は、ひとを動かす。
・ 本業から学んだことで、人の役に立てることは、何ですか?
・ 編集者に「ぜひあなたの本を作りたい」と、
お願いされるようになってほしい。
・ 一流の人と仕事をしたければ、動機・志でピュアなものがいる。
人間っぽいもの、全身ぼろぼろ、
そこにピュアなものが見えると心が動かされる。
そういう本が、読者の心を動かす。
・ 「私は世の中の役に立つ本を書く!」と決意する。
経営者、個人事業家、その道のプロ、つまり指導者は本を出しなさい。
・ 断言する勇気を持つ。言葉にエネルギーが宿る。
大事なのは、本に値する言葉・本に値する文章を持っていること。
・ 書きたいこと・伝えたいことではなく、
読者が「読みたいこと」を書く。
売りたいものを売るのではなく、ユーザーが欲するものを売る。
つまりビジネスと同じ。
・ 無名の私が本を書くということ。
このテーマで本を書いて、
私を全く知らない人が何人くらい買ってくれるだろうか。
その潜在読者が10万人はいないと話にならない。
■ 私の潜在読者は、誰か?
経営者になって25年になります。
悪戦苦闘、自己変革、経営改革の日々。
そこから私が学び、そして人の役に立てることは何だろうか。
それは「小さな会社の成功法則」でしかありません。
まだまだ当社も発展途上にあります。
しかし我流経営で失敗を続けた当初10年間(私の30代)、
そして学びと変革の15年間(40歳から55歳まで)は、
業績も企業の内実も明確に違う。
この自らの経験が世の中の多くの中小企業経営者の役に立つ素材です。
よく言われるように企業の99%以上が中小企業ですが、
その9割以上が「社員20人以下」の会社であり、
さらに7割の会社が赤字というのが現実です。
日本全国に350万社を超える企業があるということは、
その9割のさらに7割、
すなわち200万人以上の経営者が「潜在読者」と言えなくはない。
■ 小さな会社を救うコトバの力
塾での半年間の学びを通じて
「小さな会社の成功法則」という方向性は見えました。
その後、ご縁を頂いた出版社の編集者氏から、貴重なアドバイスを頂きました。
「新聞記者だった経歴を生かせないか?」
「これまでに多くの経営者の言葉に助けられたのではないか?」
この助言をもとに、
「小さな会社を救うコトバの力」という仮テーマを決めて、
私を支えてくれた数々の「経営名言」を軸に本を作る
という路線を明確にしました。
これまでに書き溜めたブログを振り返りました。
そのベースはこの毎月の給料袋メッセージです。
今号で215号、すでに15年以上続いています。
私の40歳からの経営改革15年とそっくり重なる日々です。
経営の原理原則をまとめ、
それに合致する「響いた言葉」を整理しました。
なにわあきんど塾から始まり、アチーブメントの青木仁志先生、
木村塾(BS経営塾)の故・木村勝男会長、顧問の立道岳人先生など、
お世話になった恩師のたくさんの言葉に勇気づけられ、
導かれてきたことに気づきました。
夢中になって作った企画書(目次)が、以下の通りです。
■ 現時点の目次
【はじめに】
小さな会社ならではの成功法則があり、心に火をつけるコトバがある!
【第1章】 無免許運転は事故に至り、我流経営は破綻を招く
・ 素人が急に経営者になってしまった
・ 戦後最悪の不況、転落の分水嶺を超えた日本経済
・ 「低価格競争」という勝者なき消耗戦
・ 社員が心配する経営状態
・ 人が来ない、雇えない、定着しない
・ バタバタ貧乏、社長の終業時間は24時
・ 景気に振り回される漂流経営
【第2章】 人生の目的(ゴール)を明確にせずして、経営してはならない
・ 親父の時代は誰でも儲けた、これからは違う!
[置かれた現実を知ることから、変革のすべては始まる]
・ こんな小さな会社でも社員の家族を入れたら50人が飯を食っている
[経営者はどれだけの「人命」を預かっているか?]
・ 誰のため、何のため、なぜ生きているのですか?
[理念とビジョンは「失敗」の中から生まれる]
・ 登る山を決めろ!
[会社経営を通して、どんな人生を実現したいのか?]
【第3章】 その目的(ゴール)にふさわしい目標を見つけよう
・ BSの左側は「使い途」。右上が「他人のお金」、右下が「自分のお金」
[BS(貸借対照表)が読めない暗闇経営だった]
・ 無計画は失敗を計画すること
[CF(資金繰り)を把握しないドンブリ経営だった]
・ 1人当たり1000万円の自己資本があれば、2年間売上ゼロでも給料を払える
[小さな会社は「社員1人当たりの自己資本額」を最重視する]
・ 会社は利益(付加価値)で生きている
[黄金指標は「社員1人当たりの粗利額」である]
・ 数字入りの大ボラを吹け!
[ビジョンは数字入りで公言する]
【第4章】 周りの人たちを巻き込もう
・ 1人はしょせん1馬力、多くの人の力を借りて多馬力となる
[社員のする仕事を社長がしてはならない]
・ 中小企業は教育産業です
[入社してくれた人に感謝して人材に育てる]
・ 他人を変えることはできない、変えることのできるのは自分の思考と行為だけ
[経営者の必修教科の一つは「心理学」である]
・ 己より優れた者と働く技を持つ者、ここに眠る
[社員1人ひとりの欲求が満たされる組織にする]
・ 会社は水槽、人間関係が水質
[良好な人間関係なくして良い仕事はない]
・ 誰も社長のレクサスのためには働かない
[経営者の「公私混同」は一瞬で社員の信頼を失う]
・ 年収1000万円社員を何人作れるか、それが経営者の勲章
[双方勝利を目指す]
【第5章】 少数精鋭の最強組織を作ろう
・ 給料は高く、人件費は低く
[増員は慎重にも慎重にする]
・ 金を残すは三流、仕事を残すは二流、人を残すは一流
[二刀流・三刀流・四刀流の社員ばかりにする]
・ 努力は足し算、協力は掛け算
[一人ひとりの「強み」を伸ばし、弱みはカバーし合う]
・ ビジネスは究極の団体競技である
[強いチームには規律があり、よい会社には共通の価値観がある]
・ 正々の旗、堂々の陣
[経理を公開して「ガラス張り」にする]
・ 社員は「自分という商品」を会社に売っている
[最強幹部の仕事哲学]
【第6章】 会社を「カネのなる木」に育てよう
・ 事実は一つ、解釈は無数
[値下げ競争に巻き込まれないための肯定的解釈力]
・ 私利私欲ではなく公利公欲!
[儲けて納税して自己資本が貯まると、心の平安が得られる]
・ 決算書は経営者の通信簿、それを最も見ているのは銀行
[BSが良くなると銀行が放っておかない]
・ 借金と言うな、「資金調達」と言え!
[自己資本比率は高すぎてもいけない]
・ 事業が上手くできて50%、ちゃんと承継できて100%
[経営はマラソンではなく駅伝である]
・ 経営者の仕事は会社と社員を守り、家族をもめさせないこと
[自社株を分散させてはならない]
・ 死んであの世に持っていけるのは磨いた魂だけである
[相続税はいくら高くても払えれば何の問題もない]
【第7章】 経営力とはすなわち人間力である
・ 我流経営は無免許運転
[経営者は経営「技能」を磨かねばならない]
・ 経営者は判断力で飯を食っている
[メンターから学び、孤高の時間に思考する]
・ カメがウサギに勝った本当の理由
[他人との比較から自由になる]
・ 偉そうにしても偉くはない、馬鹿にされても馬鹿ではない
[理不尽さに負けない自分づくり]
・ 問題が器を大きくしてくれる
[すべては益となる。のちの生き方で正解にすればよい]
・ ホームドラマの人生ではない、大河ドラマの人生を生きろ!
[自分の葬式でどんな弔辞を読まれたいか?]
・ 継続学習はガードレール
[われわれは生涯学び、実践し続けなければならない]
【おわりに】
「小さな超一流企業」が日本経済を復活させる
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■ 良い本かつ「売れる本」
おわかりのように、この目次には当社のこの25年間、
そして創業以来の90年史が凝縮されています。
満を持して東京の出版社を訪問し、
ご縁をいただいた編集者氏に面会していただきました。
結果は、先述のように
「面白い本になりそうだけれど、売り方が見えない」
「現時点での出版は、ない」というものでした。
商業出版である以上、
ビジネスとして成り立たなくてはならない。
内容が良いのは当然として、
見ず知らずの読者が1500円ほどの身銭を切って
買う決心をするかどうか。
どうやってレジまでもっていってもらうか、
注文のクリックをもらうか。
それには「著者としての総合力」が問われる。
一番良いのは、本業で圧倒的な実績を作ること。
または、コンテンツが圧倒的に優れていること。
このように懇切丁寧に見ていただいた編集者氏に謝意を伝え
「長い目でお付き合いください」と述べて辞しました。
いま訪問から3週間ほどが経ちました。
「売り方が見えない」ということでのお断りでしたが、
やはり「中身」が不十分なのだと自省します。
本業か中身か、どちらかが圧倒的であれば
出版は可能なわけですから。
本業で圧倒的な成果を出すこと、
中身を徹底的にブラッシュアップすること。
この2点に今後数年間かけて全力を傾けていきます。
皆さまのお力を、お貸しください。
2024年11月25日
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三