【クレーム対応の原則】
5月の給料袋メッセージです。
ミスやクレームが発生したときの原則をまとめました。
上手くいかない時、ピンチの時、逆境の時ほど理念からの一貫性を通す時です。
[通算208号]
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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ
いつも社業への貢献、ありがとうございます。
昨年末から始めたコーポレート・スタンダードの作成も、いよいよ終盤を迎えました。
リーマンショック後の苦境から経営改革を進めてきた15年間の集大成です。
■ マイナスはプラスの出発点
理念とビジョンを再考し、大切にしたい価値観(フィロソフィー)を深めました。
当社の理想は「どんな不況にもビクともしない強い会社」であり「人の育つ良い会社」です。
それらは過去の失敗や反省から生まれたものです。
これは戦前・戦後の日本にたとえることができます。
戦争に明け暮れて国民生活が犠牲になった反省から、
戦後は民主的で平和を希求する社会を理想としました。
スタンダードブックは会社の「憲法づくり」と言えます。
■ 大赤字から生まれた財務方針
マイナスの現実で葛藤したからこそ、渇望する未来を鮮明に描きました。
不況で苦しんだ過去がありました。
私が3代目を務めた25年間は、日本経済の強烈なダウントレンド(降下)と
そのまま合致した年月でした。
会社の経営基盤が揺らぐ大打撃でした。
だからこそ景気に左右されない盤石な財務体質を持ちたい、そう強く念じました。
会社は永続せねばなりません、そうでなければ守るべきものが守れません。
それでも好不況の波は必ず繰り返され、それは自分にはコントロール外のこと。
しかし「強い財務体質を作ること」は自分のコントロール下にあります。
自己資本を貯め続ければ、不況にビクともしない強い会社になれる。
ここから財務方針を明確にしました。
「少数精鋭主義により高収益体質を実現し、財務の健全性を高め続けます」
というものです。
■ 反省から生まれた人材育成方針
人で苦しんだ過去がありました。だからこそ人材育成に力を入れました。
無定見なままに採用し、ろくに教育もしなかった時代がありました。
社内が混乱し、多くの社員を傷つけてしまいました。
社内がバラバラで協力関係も希薄。だからこそ一致団結の大切さを肌身で感じています。
私たちが求める理想の社員像は、徹底的に仕事に売り込むと同時に、
仲間想いの心があふれる社員です。
ここから
「徳と才を兼ね備えた仕事師の中の仕事師」
「仲間と顧客と社会に尽くせる人格者」
という人材育成方針が生まれました。
■ 「困ったとき」の拠り所
スタンダードブックは「仕事で困ったとき」の拠り所でもあります。
困ったとき、例えばミスや失敗やクレームが起きたときにどう対応すべきか。
急場の対応指針もまとめました。
この「クレーム(失敗・ミス)対応の原則」は、20年ほど前から原形が社内に存在しています。
私がどこかの勉強会でもらってきた資料がベースとなっており、
そこに社内で起きたこと・考えたことを足し引きしました。
社内ではすでにおなじみのものです。
今回、全面的に見直しました。
当社の大切にすべき理念・ビジョン・フィロソフィーが色濃く反映しています。
上手くいかない時、ピンチの時、逆境の時こそが理念の一貫性を通す時です。
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【クレーム(失敗・ミス)対応の原則】
① クレーム(ミス)対応はすべてに優先する。
最優先に対応する。最大限の手段で対応する。
金銭(コスト)は一切気にしない。挽回に全力を挙げる。
責任の所在が当社か先方か判明しない段階でも「当社の責任」として考え、行動する。
② クレームとはお客様が困っている状態。
信頼喪失の危機であるが、逆に関係性を強くできる絶好の機会でもある。
徹頭徹尾、誠実さを貫く。
誠実さに勝るスキルはない。
③ 被害・損害を受けた相手の立場で考え、行動する。
「もし自分が被害者だったら?」
それを思考の原点とし、相手の心情に寄り添う。
④ お客様は「お金」のことを言っているのではない。
傷ついた心が癒されるのを待っているのである。
挽回のコスト(材料代・段取り変更の手間・運賃など)は惜しまない。
惜しむ心が更なる損失を招く。
⑤ 「言い訳」は1ミリもしてはならない。
怒りの火に油を注ぐだけ。
言い訳に成長なし。
⑥ お詫びは丁重にする。
「すみません」「申し訳ありません」をキチンと言う。
お客様が「もうよい」と言ってくださって初めて、解決となる。
⑦ 顔を出すこと(直接の謝罪)が大事。
本人だけでなく社長(上長)も一緒にお詫びする。電話で謝罪する場合も、電話口に一緒に出る。
嫌な思いを共有するのが大事。
⑧ クレーム(ミス)の責任は追及しないが、原因は追究する。
「罪を憎んで人を憎まず」「ミスを憎んで人を憎まず」
責任を追及するのでなく、原因を「追究」する!
二度と同じ間違いをしないために。
⑨ 朝礼でミス・クレームを報告し、再発防止のために情報を共有する。
ミス・失敗とは「経験」である。
会社の成長に必要不可欠な「知的財産」として情報を残す。
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こうして文字化すると思考が整理されます。
30歳で3代目を継いで今年で25年目になります。
数々の失敗や反省があって、いまがあります。
ともに歩んでくださっている皆様に感謝して、
もっともっと良い会社を一緒に作り上げていくことをお約束します。
2024年5月24日
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三