【社員が辞めないのが良い会社?】
きょうは給料袋メッセージを書きました。
表題について、チャットGPTの力を借りて、考えました。
[通算217号]
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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ
今年を振り返ると、まさに激動の2024年でした。
国内の鋼材需要が低迷して6年目になります。
仕事が減ると過当競争ゆえに利益が圧迫され、
同業他社の廃業も相次ぎました。
そんな厳しい環境下にあっても黒字を重ねています。
一致団結し、日々お客様に誠実に向き合ってくださる
社員の皆さんの努力のたまものです。
そして今年は、新工場計画が大きく前進しました。
レーザー加工機が独トルンプ製(24㌔)に決定し、
工場建屋2棟の概要も固まりました。
3つ目の隣地を購入するという御縁にも恵まれて、
計画はさらに理想に近づきました。
来年11月の完成が楽しみでなりません。
今年はまさに、いわゆる「第2象限」の取り組みが
更に進んだ一年でした。
緊急ではないけれども重要なこと。
会社の長期発展を見据えて大きな決断をいくつも下しました。
新工場計画、それに伴う銀行交渉と長期の資金繰り。
会計事務所を13年ぶりに変更し、
生命保険の大幅な見直しにも踏み切りました。
■ 10年ぶりの離職
それにしても、今年は10年ぶりに離職者、
それも2名を出したことが大きな出来事でした。
振り返ると私が30歳で経営者になってからの当初の10年間、
人が定着しない状況が続きました。
採用や育成のビジョンがない時代でした。
10人雇っても残ったのは3人です。
残りの7人はほとんどが早期の離職でした。
こちらからお願いして辞めてもらう(辞めさせる)という事態。
まさにブラック経営者ここに極まれりの暗黒時代でした。
「採用の失敗を育成で取り返すことは出来ない」
と言われますが、まさにその通り。
その反省から「理想の社員像」を社員みんなで議論し、
採用ビジョンを練り上げました。
そのおかげで、2013年後半から「離職ゼロ」が10年間も続いたのでした。
一定の成果として誇らしくも思いました。
しかし、人が定着したからと言っても「問題なし」ではまったくなく、
それを私が分かっていなかった。
多くの社員が言い知れぬ努力を重ね、時には心を痛めていました。
その現場の苦労を私が分かっていなかった。
もし私に経営者としての能力がもっと高ければ、
縁あって入社してくれた仲間を失わうことはなかった。
育ててやることが出来なかった。
社員の皆さんに心労を掛けずに済んだ。
私の指導力不足をお詫びします。
もっともっとキチンと人の育つ会社にしなければならないと、
肝に銘じた一年でした。
■ 「社員が辞めない会社が良い会社?」
離職ゼロだった10年間をあらためて振り返って、
何が正しいのかを考えました。
その手掛かりの一つとして、
日々進化を遂げる「チャットGPT」に尋ねてみました。
AI(人工知能)に聴いてみたわけです。
「社員が辞めない会社が良い会社」という考え方は正しいのでしょうか?
そう入力してみました。
すると、以下のような答えが瞬時にスラスラと出てきました。
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「社員が辞めない会社が良い会社」という考え方には一理ありますが、
それだけでは必ずしも「良い会社」とは言えません。
この考え方が正しいかどうかは、社員が辞めない理由に注目する必要があります。
● 社員が辞めない理由のポジティブな側面
社員が会社を辞めないのは、
以下のようなポジティブな理由による場合、確かに「良い会社」と言えます。
1. 働きがいがある。
仕事にやりがいを感じ、社員が目標に向かって成長している。
上司や同僚との人間関係が良好で、心理的安全性が確保されている。
2. 労働環境が良い
働きやすい制度が整っている(ワークライフバランス、リモートワークなど)。
適正な給与や福利厚生が提供されている。
3. 企業文化が魅力的
社内の風通しが良く、社員が自分の意見を言いやすい環境。
経営理念や企業ビジョンに共感している。
4. キャリアが安定している
長期的に働けるキャリアプランが見える。
社内でスキルアップの機会がある。
● 社員が辞めない理由のネガティブな側面
一方で、社員が辞めない理由が以下の場合、
「良い会社」とは言い難いです。
1. 外的な理由(辞めたくても辞められない)
他の仕事を探す余裕がない(経済的な理由、スキル不足)。
地域的に選択肢が少なく、他に行くところがない。
2. 惰性や諦め
業務内容に情熱を感じていないが、現状維持が楽だと感じている。
3. 保守的な企業文化
社内のルールや慣習が固定化され、新しいことに挑戦しない。
個人の成長やスキルアップを妨げる閉鎖的な環境。
● 離職率に対する適切な見方
社員が「全く辞めない」会社も、必ずしも理想的ではありません。
健全な離職率は組織の新陳代謝を促し、
企業の成長につながることがあります。
1. 新陳代謝の重要性
新しい人材が入ることで、多様な視点やスキルが組織に加わる。
不適合な人材が離れることで、チームの効率や雰囲気が改善される。
2. 離職率の健全な水準
離職率が異常に低い場合、社員が変化を嫌い、停滞している可能性もあります。
逆に、離職率が高すぎる場合、
職場環境やリーダーシップに問題がある可能性があります。
● 経営者としての考え方
1. 離職の理由を分析する
辞める社員の共通点や理由を把握し、改善が必要な領域を特定する。
例えば、上司のマネジメントスタイルや、労働条件に問題がある場合、
それを改善する。
2. 社員が辞めない「ポジティブな理由」を増やす
働きがいや労働環境を改善し、
社員が「この会社で働きたい」と感じる要素を増やす。
社員に対して明確なキャリアプランを提示し、
モチベーションを高める。
3. 辞める社員を無理に引き留めない
成長を求めて辞める社員は、新しい環境で活躍する可能性が高い。
その場合、円満に送り出すことが企業の評判にもつながる。
[結論]
社員が辞めないことは「良い会社」の一つの要素ではありますが、
その背景がポジティブな理由によるものかどうかを
見極めることが重要です。
経営者としては、社員が「辞めない」のではなく
「この会社で働き続けたい」と思える環境を作ることが、
本当に良い会社を作る鍵となるでしょう。
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AIの導き出した答えを見て、正直、おどろきました。
これだけが正解というわけではないでしょうが、
極めて納得できる論理がシンプルに呈示されています。
■ AIに迫られた反省
この回答を見て、
とくに人が辞めない会社の「ネガティブな側面」にハッとしました。
坂元鋼材は真に働き甲斐があり、
「社内のルールや慣習が固定化されておらず、新しいことに挑戦し、
成長やスキルアップができる開放的な環境」であるのか。
「社員に対して明確なキャリアプランを提示し、モチベーションを高める」
ことが出来ているのか。
そして「変化を嫌い、停滞」していないかどうか。
確かに離職率は極めて低くなりました。
しかし「良い会社」への道のりはまだまだ遠い。
ことし社を去った2人の離職理由はそれぞれで異なりますが、
私の呈示する理念に共感してくれておれば、
私が作り出す価値観に共鳴してくれておれば、
私に経営者としての能力や人間としての魅力がもっともっとあれば、
別の結果になったはずです。
■ 反省から生まれた理念とビジョン
そのように10年選手を2人見送った今春、
丁度そのタイミングで完成したのが
「コーポレート・スタンダードブック」でした。
経営人生25年の苦い体験と成功経験をもとに作り上げた「当社の基準」です。
その目玉が「人材育成方針」です。
「徳と才を兼ね備えた仕事師の中の仕事師」
「仲間と顧客と社会に尽くせる人格者」
これが当社の追及する理想の社員像です。
いまいちど、お配りしているブックの17-18ページに目を通してみてください。
数多くの経験、とくに痛みを伴う経験から生まれた当社の価値観であり理念です。
■ やはり結論は、内発的動機付け
AIによる「結論」が、また振るっています。
《経営者としては、社員が「辞めない」ではなく
「この会社で働き続けたい」と思える環境を作ることが、
本当に良い会社を作る鍵となるでしょう。》
まさにその通り、かねがね目標としてきた
「5つの基本的欲求を満たす会社」のことです。
① 生存の欲求(健康面、安全衛生面)
② 愛・所属の欲求(仲間との連帯意識、会社への帰属意識)
③ 力の欲求(上質な仕事、顧客と仲間への貢献、それによる自己重要感)
④ 自由の欲求(経済的報酬、時間的なゆとり)
⑤ 楽しみの欲求(成長できる、学べる、楽しめる)
この会社で働いて、これらの欲求がバランスよく満たされる。
そんな組織をみんなで作り上げること。
そうして初めて「この会社で働き続けたい」と
社員の皆さんが内発的に思い、職場を大切にする。
AIの回答を見ても、これこそがマネジメントの王道です。
リーマンショックから始めた経営改革も15年が経過しました。
一定の成果は手にしたものの、まだまだ、まだまだ、まだまだ、です。
縁あってこの会社に集ってくれた皆さんの能力が
100%発揮できる組織にします。
いずれこの会社を去る時に「本当にここで働いてよかった」と
心から実感してもらえる会社を目指し続けます。
今年も日々誠実に業務を行ってくださったことに、心から感謝いたします。
ありがとうございました。
2024年12月25日
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三