【職業以上に自分を磨くものはない】
きょうの給料袋メッセージです。
会社思いの社員たちに報いる会社を作る、その信念を記しました。
[通算 205号]
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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ
いつも社業への貢献、ありがとうございます。
「コーポレートスタンダードブック」づくりの続きです。
会社の大切にしたい価値観を整理し、まとめています。
前回のフィロソフィーに続いて、今月は「人材育成方針」です。
■ 理念は反省(自己評価)から生まれる
会社の理念やスタンダード(基準)を考えるとき、
私はいつも日本国憲法を思い出します。
憲法の3大理念を学校で習いました。
何だったでしょうか?
① 基本的人権の尊重
② 国民主権
③ 戦争放棄
第2次世界大戦の後に改められた日本国憲法に
この3つの理念が込められた理由は何か。
そうです、すべて戦前の反省に立っています。
いまの行いの延長線上に「求める未来はない」。
そう思ったときに、ひとは自己評価で思考と行為を改めるものです。
未熟なまま経営者になった私も、同様です。
数々の失敗を繰り返し、反省という自己評価の繰り返し。
試行錯誤を続ける中で理念を掘り下げています。
■ 人にまつわる失敗
私が29歳で3代目を継いでから、とくに人にまつわる失敗が多かった。
それは採用と育成に関するビジョンや計画の欠如が原因でした。
人が足りなくなったら付け焼刃のようにハローワークに行く。
採用基準は不明確。
「なんとか頑張ってくれるだろう」という根拠なき期待で採用。
入れたら入れっぱなし。
これでは育つ人も育たない。
果たして、採用して数日・数週間・数カ月・数年後の離職が相次ぎました。
縁あって当社に勤めてくれたにもかかわらず、不本意な別れ方ばかり。
来ていただいた方にも不幸感がいっぱいだったはずです。
反省ばかりが残りました。
■ 支えてくれたベテランたち
そのような未熟な経営者だった私でしたが、
父の代から勤めてくださったベテラン社員さんたちが強力に支えてくださいました。
20歳から65歳の定年まで45年間も奉職してくださった尾和田さん。
当社の看板職人であり続けました。
同じく40年以上も勤めてくださった小見山さん。
丁寧な仕事を黙々と積み上げてくださいました。
父の代でエースだった荒川さん。
父になり替わって現場を差配してくれました。
新米の私がどれほど助けられたか。
父が他界した直後に他社から当社に移籍してくれたベテラン職人の橋本さん。
ガス溶断の真のプロフェッショナルで
「橋本さんが切るから坂元鋼材に仕事を出す」
というお客さんまで現れました。
事務所を30年以上に渡って支えてくださった糸井さん。
会社にとって何が大切かをいつも考え続けてくださいました。
去年他界された塩谷さん。
45歳の時に前の職場がなくなり、当社に来られました。
「自分は不器用。ガス溶断は出来ないから」と、
切断以外の仕事を一手に引き受けてくださいました。
まさに「身を粉にして働く」という表現がぴったりの献身的な働きぶりでした。
父の時代を知るベテラン社員さんはすべて卒業されました。
そのクオリティ高い仕事、会社を大切にしてくださるご姿勢に支えられて、
至らない経営者だった私でも会社を続けることが出来ました。
諸先輩方を振り返って思うのは、
まさに「仕事師の中の仕事師」でいらっしゃったということです。
■ 勝手に育った若手たち
私が3代目を継いだ翌年に入社してきたのが前君です。
すでに赤ん坊がいて、さらに2人目・3人目・4人目と子宝に恵まれました。
家族が増える度に彼の働きぶりは鋭さを増していったように思います。
経営者3年目だった私にとって初めての大型投資(プラズマ)を初め、
新工場・新レーザーと、プロジェクトをすべて成功に導いてくれました。
「自分という商品を会社に売っている」
「おってナンボでなく、やってナンボ。やってナンボでなく、出来てナンボ」
「いずれ会社に自分の銅像が建つ」
そんな数々の名言を残しています。
採用も育成も何もかもが不備だったこの時代に、まさに勝手に育ってくれました。
工場のすべての機械を操り、手すきのときには事務所に入ってCAD/CAMを叩き、
さらには値段付けや見積もりも可能な万能選手です。
前君の働き方には、師匠だった橋本さんの仕事哲学が脈々と流れています。
橋本さんは常に顧客目線に立っておられました。
ものづくりの中間地点である鉄鋼溶断製品だからこそ
「次に使う人が使いやすいように」と、ひと手間もふた手間もかけた
丁寧な仕事を貫かれました。
■ 仲間を勝たせて自分も勝つ
ベテランの仕事哲学を体現する前君をモデルにして、下の世代が育ちました。
仲間思いの大石君、人望厚い前田君は、もうすでに堂々たる幹部です。
そして彼らがさらに下の世代を教育してくれる。
ありがたい好循環です。
近年は前君をモデルに多能工を目指す
「教え合い」という新しい文化が加わりました。
いたずらに社員数を増やさないという私の方針をよく理解してくれて
「少数精鋭主義」を守ってくれています。
そのために不可欠なのが一人ひとりのパワーアップでした。
教え合いの中で教える者がさらに成長を加速させました。
仲間を勝たせて自分も勝つ。
それこそが当社の理念であり憲法です。