誰に対しての信用か? [給料袋メッセージ 212]

【誰に対しての信用か?】

 

きょうの給料袋メッセージでは、経営理念でもある「信用」について掘り下げました。

 

幹部からの一言で、考えがぐっと深まりました。
[通算 212号]

 

 

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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ

 

きょうは「コーポレート・スタンダードブック」の話の続きです。

 

昨年末から半年ほどをかけて、

会社の理念・ビジョン・方針をまとめた36ページの小冊子を完成させました。

創業者、2代目、私の代まで受け継がれる会社の価値観・歴史がベースにあります。

 

加えて私が経営者となって25年間ずっと考えてきたこと、

社内外で起こったさまざまな良い経験・良くなかった経験を踏まえて

社内で議論を重ねたこと、

そこから生まれた皆で守りたい大切な考え方を凝縮させました。

 

ブックは「作って終わり」ではもちろんありません。

初版をもとにさらに社員全員の知恵を持ち寄って、坂元鋼材らしいものにさらに練り上げます。

 

■ 5信条の筆頭は「信用」

 

いま、完成したばかりのブックを朝礼で読み進めています。

先日は「5信条」の筆頭である「信用」の項目を皆で読みました。

 

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信 用

 

これには3つの側面があります。

 

まず「対顧客」。

私たちが扱う商品の品質が確かであってこそ、

お客様は信じて、頼って、用いてくださります。

そうしてこそ仕事がいただけ、その対価の中から利益が生まれ、会社は存続を許されます。

 

つぎに「対仕入先」。

私たちは鉄鋼という原材料を仕入れることが出来て初めて製品を作ることが可能となります。

しかし信用がないとモノを売ってもらえません。

私たちは昭和・平成・令和と続く会社の長い歴史の中で、数々の不況の波を経験しました。

鉄鋼業界でも大きな店から小さな店まで、数々の企業の浮沈を目にしました。

信用があってこそモノを売っていただけます。

 

そして「対社会」。

経営にとって血液である資金繰りも同様で、

信用がなければ金融機関は絶対にお金を貸しません。

さらに、これから入ってくる未来の社員たちも会社を信用するからこそ応募し、

入社を決断します。

ヒト・モノ・カネ、いずれも信用のあるところにのみ集まります。

 

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ここまで読み進めたとき、工場長の前君が挙手して意見をくれました。
「信用には3つの側面とありますが、もう一つ『対仲間』があるのではないですか?」

 

■ 対社外の前に、対社内

 

前君の話は、こう続きます。

 

「これまでいろんな社員と一緒に働きました。

会社の大切にしたい価値観をキチンと守り、人が見ていなくても絶対にさぼらず、

自分を成長させ続ける社員もいれば、そうでない例もありました。

対外的な信用も大事ですが、その前に対内的な信用が必要です。

仲間から信用されなければ何も始まりません」

 

■ メンバー同士の信用の大切さ

 

うーん。この発言には一本も二本も取られました。

まさに彼の言う通りです。

 

これまでに数多くの社員と一緒に働きました。

勤続年数が長いのが当社の特徴で、他社に比べると人の入れ替わりが少ない会社です。

 

それでも早期退社や残念な離職がいくつもありました。

それはほとんどの場合、「対仲間」の信用が築けなかったとみることができます。

 

振り返ると、社長の私に人を見る目がなく、採用基準もあいまいな時期が長くありました。

「なんとか頑張ってくれるだろう」という根拠なき期待で採用し、失敗を重ねました。

 

遅刻や無断欠勤といった悪しき態度、

さらに不満足・不十分な働きぶりで仲間の信頼を損ねる例が相次ぎました。

 

果ては、先輩社員に食って掛かる、暴言を吐くなど常識外れの問題行動も現れました。

こうなると当人がどれだけ会社に残りたいと願っても、残れるはずがありません。

社長の私の目はごまかせても、いつも一緒に働く「仲間の目」はごまかせません。
まさに前君が朝礼で発言したように「仲間から信用されなければ何も始まらない」のです。

 

■ 採用基準を磨く

 

こうした社員を退社させるという経営者にとっての「前科」が私にはいくつもあります。

私の採用ミス、育成力不足が招いた結果です。

経営者になって25年になりますが、

いったん迎え入れた社員を辞めさせるという事態ほど辛いことはありません。

 

だからこそ数々の反省から採用基準を磨きました。

「一緒に働きたい社員像」「一緒に働きたくない社員像」を社内で何度も議論しました。

面接は私だけでなく幹部を複数同席させ、面接トレーニングも重ねました。

 

全社挙げての努力の結果、採用ミスは激減。

十年間に渡って離職ゼロの時代があったのも、このような改革によるものでした。

 

■ 社員が信用する社員とは?

 

工場長の前君は、この採用と育成の先頭にずっと立ってくれています。

だからこそ朝礼での発言につながっているわけです。

 

彼がいつも口を酸っぱくして社内で説いてくれていることが、

当社の育成フィロソフィの土台となっています。

 

動作はキビキビとしていること、

手すきのときには掃除や片付けなど出来ることを見つけること、

機械のメンテを怠らないこと、

困っている仲間がいたら助けに行くこと、

ひとに仕事を教えること、

そして自分のできる仕事の領域を常に拡大し続けること。

 

過去の反省を踏まえて理想の社員像を議論しました。

そこから生まれた人材育成ビジョンが、次の言葉です。

 

「徳と才を兼ね備えた仕事師の中の仕事師」

 

「仲間と顧客と社会に尽くせる人格者」

 

勤続24年になる前君が率先してこれを体現し、

坂元鋼材の良き社風として根付かせてくれました。

 

おかげで、いま在籍している社員は間違いなくこの理想像を追いかけてくれています。
このような「社員が信用する社員」「社員が尊敬する社員」ばかりの会社、それが理想です。

私が3代目となった過去25年間でも、いまが最も良い状態と言えるでしょう。

 

■ スタンダード(基準)を磨き続ける

 

今年になって完成したスタンダードブックですが、

早速のブラッシュアップが入りました。

 

会社の大切にしたい5信条の筆頭である「信用」は、3つではなく4つの側面がある。

対顧客、対仕入先、対社会、そして対仲間です。

 

ブックは毎年1回の改定を予定しています。

初版の36ページを基礎として、会社の大切にした価値観・考え方を皆で煮詰め、

全員で成長する社風を磨いていきましょう。

 

2024年8月23日
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三

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