【尾和田さん送別会(8/12)】
勤続42年半で定年退職された尾和田さんの送別会が8/12にありました。
きょうは尾和田さんが最後のお給料をもらいに出社されます。
毎月の月給袋には「社長メッセージ」を入れています。今月はもちろん尾和田さんの話題に。本当にお世話になりました。ありがとうございました。
社員の皆さんへ
いつも社業への貢献、ありがとうございます。今月12日に尾和田さんの送別会が行われました。忙しい仕事の手を止めての、社員全員での語らい。本当に楽しいひと時でした。その光景を見ていて「ずいぶん会社も変わったな」と感慨を持ちました。今月の尾和田さん、昨年末の塩谷さんと、超ベテラン社員が相次いで卒業され、そして昨年から数えると5人の若者を迎えましたから。顔ぶれがぐっと若返ったわけです。
今年は7月に中本さんを迎えました。6月に1カ月間のインターンシップで職場実習に来られていますから、もうすぐ3カ月。糸井さんから事務所の業務を受け継いでくれています。ここは会社の要のひとつ。期待しています。よろしくお願いします。そして4月入社の脇田さん、去年11月入社の一橋さんもしっかりと定着してくれ、いまやCAD業務をこの女性2人で切り盛りしてくれています。この3人の若手女性の存在、その細やかな仕事ぶりが我が社の社風をさらに清々しいものにしてくれています。さらに昨年入社の2人の男子(三宅君、河野君)。すでに現場の主力機械であるプラズマとレーザーを任されるまでになり、まるで竹の子が伸びるがごとく成長しています。本当に頼もしいことです。
この20代の若手5人、そしてその上に続く中堅世代(前君、前田君、大石君)、さらにベテラン(佐々木さん、中上さん、吉山さん、荒川さん、糸井さん)と、本当に各世代に充実した人財がいてくれているものと、改めて感謝の思いです。ようやく会社がこのような充実した「チーム」になったからこそ、尾和田さんにも安心してご卒業していただけるものだと思います。四十二年間にわたって勤めていただいた尾和田さんには、本当に助けられましたし、最後まで後進の指導と育成にも努めていただきました。
その送別会の席上、皆が感謝の送辞を口々に述べてくれました。皆さん共通しておっしゃるのが、尾和田さんの器用さです。機械の修理から始まり、細かな道具の自作まで。ポンチ、くさび、バールなど、尾和田さんの「置き土産」が工場にたくさんあります。お金を出せばお店で買える今の時代、こうした工作が器用にできる職人はもう存在しないのかもしれません。尾和田さんは古き佳き時代の職人気質そのままの方でした。だから工場内の備品の細かなところに至るまで、尾和田さんの几帳面さが光っています。たとえば、吉山さんに聞いたのですが、水道の蛇口にホースをつないでいるところを尾和田さんが針金でピチッと縛ってくれています。「あんなに丁寧に縛れる人はいない」と。尾和田さんはどこでそのような技を身に着けられたのでしょうか。また、昼休みなどには会社の植木を丁寧に伐採してくれていました。何につけても器用で丁寧なお仕事ぶりでした。
そして、尾和田さんの働く姿勢に対する賞賛の言葉も。前君が言いました。「尾和田さんほどサボらない人、仕事の手を抜かない人はいない」と。前君は一度、尾和田さんになぜか聞いたそうです。すると「仕事しに来てるから・・・」と。さも当然とばかりの答えだったそうです。当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、誰が見ていようと見ていまいと、陰日なたなく黙々と仕事に打ち込むそのご姿勢は、わが社のよき社風をつくってくださいました。
後輩の面倒見が良かったのも尾和田さんでした。その最後の弟子になったのが大石君です。「なんでも任せてもらいました。難しい仕事でも『やってみ』と。でも放ったらかしにされるのではなく、遠目で見守っていてくださいました」。そして、コツを出し惜しみすることなく、細かいところまで何でも教えてくれたと。「いい背中を見せてもらいました」と大石君。尾和田さんのすべてを引き継いでくれることと期待しています。
そして最後に思うのが、尾和田さんの温厚なお人柄です。こうして振り返ってみると誰しもが共通した感想を持つと思うのですが、尾和田さんが人のことを悪く言うのを聞いたことがまったくないことと、尾和田さんのことを悪く言う人を聞いたことがまったくない、ということです。これはもっとも長く接した荒川さんの感想に尽きます。「32年間一緒に仕事したけれど、尾和田さんは誰ともまったくイザコザがない。揉め事もない。人の悪口も言わない。鉄鋼業界は荒っぽい人が多い。50年近くこの業界で仕事をしているけど、そんな人は尾和田さんしか見たことがない」と。本当に同感です。尾和田さんの仏様のようなご性格は、いったいどのようにして身につけられたのでしょうか。またお話を聞かせていただきたいものです。
これから、本当にさびしくなります。忙しいときなど「ファー」という尾和田さんの大きな掛け声が工場に響いていました。いつでも会社に遊びに来てください。そして、また仕事を教えてください。長い間、ありがとうございました。
2014年8月25日
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三