【育つ人は勝手に育つ】
今日は24日。月給袋のメッセージを書きました。通算77号です。
勤続15年になる若手リーダ格の社員が、うれしい発言をしてくれました。
折りしも今夜出席した同友会の例会で「育てようと思ったところで、人は育たへん」「育つ人は勝手に育つ」との名セリフを聞きました。
それとダブりました。
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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ
今期もほぼ4カ月が経過しました。
好調だった前年に比べると仕事量が少ないように感じますが、今期の目標に向かって着々と黒字を重ねています。
皆さんの日ごろの社業への貢献に感謝します。
きょうの文章では、先日の朝礼の風景から始めてみます。
毎朝、輪番で3分間スピーチをしてもらっていますが、今週初めの朝礼でM君が語った言葉に新鮮な驚きを感じました。
「もし皆さんが社長だったら、『もっとたくさんの給料を払いたい』と思いたくなるのは社員のどんな働き方ですか?」
「社長は社員にどんな働き方を求めているでしょうか?」
さすがM君らしい、単刀直入で、本質的な問いかけです。
そのように会社を全体的な観点から、しかも社長目線で考えれること。これは本当に凄いことと思います。
もし私がいま一社員の立ち場だったとして、きちんと全体のことを考えて仕事をしているだろうか、できただろうか、自問自答しました。
振り返ると、私にもサラリーマン時代がありました。24歳から28歳までの4年間。
勤めたのは社員約千人のマスコミ企業でした。
24歳で就職したころの私は、いま思えば周りが見えていませんでした。
初めての社会人。初めての職場。
駆け出しの自分に与えられた仕事の目的は何か。意味は何か。どんな働き方をすればよいのか。
自分の所属する部署に求められている役割は何か。
会社全体はどの方向を目指しているのか。
私にはどんな貢献が求められているのか。
そんな大局的なことではなく、自分中心の狭い範囲の思考しか出来ていなかったと反省します。
「全体最適」と「部分最適」という言葉があります。
自分一人にとって良いことが「部分最適」。
そうでなく、全体にとって良いこととは何かを追求すること。
M君が朝礼で問いかけたのはその「全体最適」の発想につながります。
自分にとっても良く、そして組織全体にとっても良いことを追求すること。
のちに知った言葉ですが、アチーブメントの青木仁志社長はこんな言葉をよくおっしゃいます。
「もし自分と同じような働きの社員ばかりだったら、この組織、この会社はどうなるだろうか? そう自問自答することが大事」
M君の問いかけとは、結局はこのことを指しているようです。
さて、私は28歳のときに父の病をキッカケに坂元鋼材の後を継ぎました。
翌年に父が亡くなったので私は若くして社長になりました。
しかし考えてみれば、社長を継いだとはいえ、すぐに全体的、大局的な思考が出来るようになったかと問われれば、「ノー」でした。
自分中心の狭い考え方から抜け出ていなかった。いや、いまでも、どこまで成長できただろうか。
人間の考え方というものは一生涯を掛けて向上させてゆかねばならないものと、あらためて反省します。
二十代の駆け出しサラリーマン時代の私、三十代で家業を継いだころの私、そしてリーマンショック後の大赤字から経営を学び始めた四十代の私。
まだまだ、まだまだ、まだまだ未熟です。
少しでも本質的なものの考え方、長期的なものの考え方、客観的なものの考え方をせねば、と努めています。
そうでなければ経営判断を誤ります。
余談ですが、昨今世間を騒がせている大企業の不祥事(例えば東芝の粉飾決算)を見ても、短期的で自己中心的な経営判断が大きな損失を招くことが分かります。
昨年夏に私は富士山に登りましたが、五合目で見る景色、六合目、七合目、八合目、九合目、そして頂上。
ステージが上がるにつれて、見える景色は驚くほど違います。
同じように人はその立ち場によって見える風景、見ている景色が違います。
M君は、たとえば自分はまだ五合目にいるにもかかわらず「頂上から見た景色はどのようなものか」と考えているのです。
社員の皆さんも認めるとおり、日ごろの彼の働き方はとても鋭く、隙が無く、だから成し遂げる結果も素晴らしい。
それは彼のこのような「考え方」によるものだと思います。
つねに会社全体を考えている。
自分のポジションだけでなく、工場の他の機械の込み具合、お客さんから急に入る短納期の仕事、さらには事務所の混雑ぶり・すき具合などを見て、会社全体が有機的に動くように最善の動きを追求しています。
次の一手を考え、事務所と工場の両方に配慮しながら「考働」している。部分最適でなく、全体最適を考えています。
思えばM君は24歳で入社しました。いま39歳。社歴も15年になりました。
過去にプラズマ担当、レーザー担当(いずれも初代)を歴任し、これらの重要プロジェクトを成功させました。
そして同時に、その思考も大きく成長させてくれたものだと、感心します。
朝礼での彼の発言を聞いて、その成長ぶりを本当にうれしく思いました。
私も負けていられません。
会社を思う心、仲間を思う心、全体にとって何が正しいかを考える心、私心なき心、素直さ・・・。
その心のあり方が働き方を決めるのだと考えます。
社員の皆さんが勤めるに足る会社、徐々にでも、少しずつでも成長していく会社を目指し、社長として心を高めてゆきたいと思います。
今月も、ありがとうございました。
2015年7月24日
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三
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