「ビジネスとはお客様を喜ばせること」 [給料袋メッセージ97]

「ビジネスとはお客様を喜ばせること」

 

きょうは冬賞与の支給日。社長メッセージを書きました。定期賞与を支払えることに感謝して。
(通算97号)

 

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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ

 

いつも社業への貢献、ありがとうございます。

 

きょうは賞与の支給日です。ボーナスと言っても生活給であり月給の延長です。私も3年半のサラリーマン経験がありますから理解しているつもりです。3月末の決算賞与を復活させてからは、そちらが真のボーナスの性格を持っています。だから毎月の給与、そして春夏の定期賞与、そして3月末の決算賞与。これらをキチンと増やすこと。業界の最高水準を目指し、同年代で決して引けをとらぬ水準を確保すること。それが私の大きな経営目標です。

 

その給与や賞与をお支払する原資(もと)を正せば、やはりお客様から頂くお代金に含まれる「利益」。その中でも、売上高から原価を差し引いた「粗利」が一番大事です。

 

話をものすごく簡単にすると、鉄板、ガス代、電気代、消耗品など「生産すればするほど使うもの」が原価。売上高からこれを引いたのが粗利。この粗利の中からお給料や、会社を維持し発展させる経費が出ます。付加価値の高い喜ばれる仕事をすればするほど、この数値は上がります。我が社はもともと一級の材料のみを使用し、加工するマシンも高価なものを使うので、ベースとなる単価水準は初めから高いはず。そこに適正利益を乗せて売ります。それで毎日忙しいくらいの受注をいただけるのですから、本当にありがたいことです。

 

この12月に入ってから年末のあいさつ回りをしています。お客様の生の声を聴くのは嬉しいものです。

 

「めちゃくちゃ助かってます。絶対に他社には出しません」
(A社さん)

 

「御社のプラズマは本当にキレイで素晴らしい」
(B社さん)

 

「坂元さんの材料を使(つこ)うとったら間違いないわ」
(C社さん)

 

そしてどのお客様からもお聞きするのが、短納期対応への謝辞。ありがたいことです。

 

思い起こせば20年近く前、私が3代目を継いだ頃のこと。鉄鋼業界は「鉄冷え」と呼ばれる低迷期で、安値競争が横行していました。我が社がリピートで納めていた製品に対して、その8割とか6割の安値で対抗してくる業者がいました。しかし値段こそ安いが、材料も切り方も悪い。そんな粗悪品にお客さんを奪われて悔しい思いをしました。

 

しかし我が社の強みは何か、それを突き詰めて、結局は「品質」と「短納期」という2点に注力しました。そして親切に対応すること。そのうえで適正な利益を守ること、それにこだわりました。このことを愚直に実践してきましたし、これからも同じです。余談ですが、安値で粗悪品を切っていたその会社は後に廃業しました。

 

昨年来、私が経営を学ばせていただいている株式会社フォーバルの大久保秀夫会長の言葉を思い出します。若いころ電電公社を相手にして日本の通信を自由化させた起業家です。25歳の時に立ち上げた会社が34歳のときに上場(当時の最速記録)。その大久保会長から教えられたことの一つが、「ありがとう」の結果が利益という話です。

 

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お客様からの「ありがとう」の結果が利益。社員には「お客様に『ありがとう』を言ってもらって来い」と常に言う。「ありがとう」と言ってくれる人をいかに増やすか。ライバルは同業他社じゃない。目の前にいるお客様だ。その結果が「行列のできる」お店であり会社。お客様に心底から感謝されれば、利益は面白いようについて来る。金魚すくいと同じで、すくおうとすると利益は逃げる。儲けようとするから、儲からない。お金を追うとお金は逃げる。ビジネスは「ありがとう争奪戦」である。        (講義メモより)                         
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リッツカールトンホテル、和倉温泉の加賀屋、首相がアメリカ大統領を接待する寿司屋(すきやばし次郎)、それらで「値引き」を言うお客さんはいないはず。お客さんのほうが感謝して買わせてもらいます。どんなに並んででも、待ってでもそのサービスを受けたい。そして満足し、感謝する。本当に優れたサービスを提供するお店は値段を超えており、そこに不景気はありません。理念、こだわり、質でつながっているお客様は絶対に離れないもの。

 

自分がファンだと思っているお店やサービスは、値段を超えたところで支持しているはずです。私もウィーン・フィルやベルリン・フィルが来日すれば、何万円のチケットでも発売日を待ち構えて買ったものでした。我が社も、そんな会社になりたい。そんなサービスを提供したい。

 

アチーブメントの青木社長に、このあたりのことを突いた格言があります。
■ ビジネスとはお客様を喜ばせること。お客さまを幸せにすること。

 

野球の野村克也監督の名言も、ズバリ一言です。
■ アマは「自分が喜ぶ」。プロは「人が喜ぶ」

 

そのようにお客様を喜ばせた結果、それにふさわしい利益が与えられるのだと思います。お客様に貢献した分だけ、お客様に喜んでいただいた分だけ、多すぎもしなければ少なすぎもせず、寸分たがわず、神の采配によって正確に与えられるのだと思います。

 

また明日からも、お客様から「ありがとう」と言っていただくために、日々の商売に励んでまいりましょう。

 

 

2016年12月9日
坂元鋼材株式会社   代表取締役 坂元正三