【商品を売る】
きょうは給料日のメッセージを書きました。
商品販売の5段階の続きです。「商品を売る」というテーマから私が思い出す話を2つ、ご紹介します。
(通算156号)
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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ
いつも社業への貢献、ありがとうございます。
ことしの売り上げ減少を直視し、あらためて営業を学び直しています。
8月から続けてきた「商品販売の5段階」、今月はいよいよ「商品を売る」です。
① 自分に売る
② 自分を売る
③ ニーズを売る
④ 商品を売る ★
⑤ 感動を売る
(引用:青木仁志著「起業家のための社長学 =第1部・戦略・理念経営=」アチーブメント出版)
営業はこの順番が大事で、実際の商品をお客様に売るのはなんと4番目ということです。
1番目は、その商品をまず「自分に」売る、自分がその商品に心底から納得していること。
2番目は、その商品を「誰」が売るか。
同じ商品を扱っていても売れるセールスマンと売れないセールスマンがいる。
商品を売る前に「自分を」売る。自分自身の人柄を通して商品を売る。
3番目は「ニーズを売る」。その商品(あるいはその会社)の必要性を、お客様にいかに感じていただけるか。ひとは必要性を感じないものを買うことはない。
■ 当たり前は、当たり前でない
さて、いよいよ第4段階の「商品を売る」です。
私たちが日々おこなっている見積り・受注、製図・製造、出荷、売り上げ処理、そして集金という一連の業務です。
当たり前にしている仕事ですが、それが第4段階だということに、あらためて思いを巡らせます。
当たり前は、当たり前ではない。
注文してくださる、買ってくださる、使ってくださるお客様は、上記の①②③をへて来てくださっている。
同業他社が数ある中で、わざわざ当社を選んで来てくださっている。
思い出したのは、7年前に福島県で理念経営の勉強会にて聴いた話です。
東日本大震災と原発事故から丸2年ほどのころでした。
「福島で1、2を争うくらいに元気な社長」ということで登壇されたのが、株式会社青木商店CEOの青木信博氏(当時65)でした。
大型ショッピングセンターなどで、フルーツをその場で絞ってくれる生ジュースが売られています。
その果物ジュース・バーを「果汁工房・果琳」などのブランドで全国展開しておられる社長です。
祖父が戦前に始めた果物商を同氏が大きくされ、さらに54歳からこの新業態(ジュース・バー)を立ち上げて快進撃です。
久しぶりに同氏のことをネットで検索しましたが、その後の7年間でさらに業容を拡大されておられます。
いま72歳でいらっしゃるようです。
■ お給料は誰からいただいているか?
青木氏は新卒採用にあたって学生たちに常にこんな質問をするそうです。
「あなた方が入社して、いただくお給料は誰からもらっていますか?」
答は「会社」や「社長」ではない。では誰でしょうか。
「お客様」です。お客様が買ってくださる商品の中に利益が含まれていて、その中からお給料が支払われている。つまり我々はお客様に生かされている。
質問には続きがあります。
「では、いままで勉強させてもらった学費。これは誰が払っていますか」――。
この答も「お父さん」「お母さん」ではありません。
ご両親のお給料ももとをただせば社会からいただいたもの。
学費だけでなく18歳や22歳まで育ててもらったのは、すべて世の中に食べさせてもらったもの、育ててもらったもの。
だから恩返しの気持ちが大事。
では、どんなことで世の中に恩返しをするのか。それが仕事であり事業である――。
7年前に初めてこの話を聴いたとき、背筋がすっと伸びました。
振り返れば幼少時から何不自由なく育ててもらいました。わがままもたくさんしました。
すべて坂元鋼材のお客様が支払ってくれたお代金の中に含まれた利益によって、私の人生は支えられていたわけです。
だから仕事を通じてお客様に喜んでもらうこと、しっかりと利益を上げて納税して社会に還元すること。
いずれも「鉄を通じて社会を支える」という当社の理念に通じます。
■ 「プロは人が喜ぶ、アマは自分が喜ぶ」
商品を売ることは「価値と価値の交換」とも言われます。
ならば、より多くの価値(利益)が欲しければ、どうすればよいか。
そう考えた時、プロ野球の故・野村克也監督の名言を思い出します。
「プロは人が喜ぶ、アマは自分が喜ぶ」――。
ずっと趣味で楽器を弾いてきた私には、とくに身に染みる言葉です。
アマチュア音楽家は自分でお金を払って演奏会を開きます。
自分たちでお金を出し合って会場を借りてコンサートを開き、チケットもたいていは無料で友人に配ります。
演奏会の裏方をたくさん経験した私は、来ていただけるだけで感謝と思っています。
演奏会は「自分が喜ぶ」ためでした。
アマチュア(愛好家)はもちろんこれで正しく、だからこそ楽しいし、余暇もうるおい、人生が豊かになります。
しかしプロはどうでしょうか。
当然のことですが聴衆(お客様)がお金を払って、わざわざ聴きに来る。
演奏家はそれで生計を立てる。
この両者には天と地ほどの違いがある。
音楽のジャンルを問わず、それは当たり前。
スポーツでも野球、サッカー、ゴルフ、みんなそうです。落語、演劇、絵画、文筆――。
ありとあらゆる世界でプロとアマの間には越えがたい一線がある。
その違いが「基準の違い」になる。
「プロは人が喜ぶ、アマは自分が喜ぶ」、本当に厳しい言葉です。
大阪弁で言うと「人を喜ばせてナンボ」です。
人を喜ばせるとお金になる、自分が喜ぶためにはお金を払う。
シンプルです。
■ 私たちはプロである
それを商売の世界で考えると、どうでしょうか。
我々は「プロだ」と100%の自信をもって断言できるかどうか。
ここに我々ひとり一人の覚悟があります。
名選手の好プレーのように見事な製品を作っているかどうか。
一流プレーヤーの名演奏のようにお客様を気持ちよく酔わせているかどうか。
2流は2流の、3流は3流の収入に甘んじます。それがプロの厳しい世界。
それは我々もまったく同じ。
相手を喜ばせた程度に応じて、寸分の狂いもなく同等の報酬がもたらされる。
「商品を売る」ことで世の中にご恩を返していくなら、どのレベルで返していくか。
1流か、2流か、3流か。
それによって私たちの人生の深さ、そして豊かさは決まるのではないでしょうか。
第4段階の商品を売る。
同じ売るなら徹底的に良いものを、一人でも多くのお客様に買っていただきましょう。
そして最大限の恩返しを世の中にしてまいりましょう。
2020年11月25日
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三
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