自分自身との契約 [給料袋メッセージ 68]

【私の契約】
きょうは給料日。給料袋の社長メッセージを書きました。通算68号です。
この4年間学んできたこと、大切にしたい価値観について書きました。

 

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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ

 

いつも社業への貢献、ありがとうございます。

きょうは私のちょっと個人的なことに立ち入って開陳してみたいと思います。

 

リーマン・ショック後の大赤字がきっかけで遅まきながら私は経営の勉強を始めました。

5年前の2009年は朝礼を始め、中小企業家同友会に入会し、なにわあきんど塾にも通った年。学びの出発点でした。

翌2010年から始めたのがアチーブメント。これが私の学びの大きな柱になっているのですが、今回はそのことを書いてみます。

 

今月は3日間会社を留守にし、同社の研修にアシスタントとして参加しました。

一足先に研修を受けた者として、今度は受講生の成長を支援する側に回ります。

今回参加したのは、4段階あるアチーブメントの学びの第3段階のコース。

テキストを使わず、さまざまなワークを通じて気づきを得る内容です。

学ぶ内容は人間社会を生きていく上での原理原則であり、成功するものの考え方を身につけること。

そこでは自らの人生を振り返り、目的・目標を定めます。

自分自身を探求する学びと言えます。

 

よく似ているのが会社の経営理念を考える作業です。

我が社の経営理念はいま連続学習会の形で社員の皆さんと共に深化刷新を続けている最中ですが、原型は2009年に私が中小企業家同友会の合宿で作ったものです。

経営理念や経営ビジョンを定めるのと同様、自分自身の人生理念や目標を探し求めるのも、簡単なことではありません。

 

私自身がこの第3段階のコースに受講生として参加したのが4年近く前(大震災の直後)でした。

「百年企業」という会社の目標を私はよく口にしますが、実はそれはこのコースで見つけた私の人生目標です。

当時会社は59期(私は41歳)でした。ざっくりとした数字ですが世の中の会社は十年間で8-9割が無くなります。

次の十年間でそのまた8-9割が消えます。

だから百年続く企業は極めて少ない。

しかし働く者からすれば企業は継続して栄えなければならない。

だから会社を百年続く企業にする。

会社が第100期を迎えるとき、私は82歳。

健康に留意すればそれを見届けることも出来る。

だからタバコも止めましたし、ダイエットを始めたのも同じ理由です。

 

経営の学びも加速させました。

同友会や木村塾などに参加するのも、会社を継続して発展させるための方法を知るため。

学んだことを持ち帰り、上手くいったこともあれば、そうでないことも。試行錯誤はいまも続いていますが、会社がいい方向に変わってきているのは実感していただいていると思います。

4期連続で増益を果たし、大赤字で傷ついた財務内容も回復しました。

百年企業という大きな目標に対して、その一里塚に達したような4年間でした。

 

そしてこの研修では「自分自身の契約」というものを作ります。

生き方の基準であり、人生理念とも密接に絡むもの。

2年近く前になりますが、会社でもアチーブメントの研修を行ってもらいました。

参加した社員の皆さんにも人生理念をそこで作っていただきました。

ご自身の理念を覚えておられますか。

 

4年前に私が作った契約の言葉。

それは「私は仲間を勝たせるリーダーです」というものです。

 

いささか照れますが、この立場から人生を送ることを自分自身と契約するわけです。

研修のさまざまな体験や振り返りにより、私がどれほど自己中心的であるのかを知り、その反省から生まれた言葉です。

この学びで大切にしている概念が「ウィン・ウィン(勝ち・勝ち)」というもので、相手を勝たせて自分も勝つ、という考え方です。

自分は勝つが相手を負かせるのが「勝ち・負け」、自分は負かして相手を勝たせるのが「負け・勝ち」、そのどちらでもないものです。

それを今後の生き方の基準にしようと決めたわけです。

しかし決めたけれども現場では失敗することも。契約違反です。

しかし失敗は学びと捉えて反省し、自己の基準に立ち返る。そしてまた実践。まさに試行錯誤の連続です。

その立ち返る基準があることがどれほど大きな価値か。

 

会社では社長として社員を勝たせること。

それによって会社も勝つこと。これを目指しています。

その意味で痛切に反省するのは、この数年間に不本意にも早期に退職していった何人かの社員たちのことです。

私は彼らを勝たせることが出来なかった。

結果、会社も勝つことが出来なかった。

相手も負けて自分も負ける「負け・負け」だったのです。

社員の皆さんが自身の能力を開花させ、この会社で働くことに喜びを覚え、経済的にも満足を感じてもらえること。

それがゴールであり、そんな会社が百年続くと思うのです。

 

今年を振り返って最もうれしかったのは、社員の誰一人として不本意な形で別れることがなかったこと。

業績の向上もさることながら、そのことがもっと嬉しいことでした。

今年も社業への貢献、ありがとうございました。

 

二〇一四年十二月二十五日           
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三

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