【大企業か、中小企業か?】
きょうは25日、給料袋のメッセージを書きました。「中小企業の良いところ」を考えてみました。結論は、さて?
(通算103号)
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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ
いつも社業への貢献、ありがとうございます。この春は大学新卒のAさんを新入社員として迎えました。
この新たな出会いをお互いにとって幸せなものにすべく、共に努力してまいりましょう。
先日、中小企業同友会主催の合同入社式にAさんとともに行ってきました。
中小企業だから大勢の新入社員は採れません。そこで同友会企業が集まって合同で入社式をしています。
森ノ宮のKKRホテルに各社から新入社員が百名ほども集まりました。
あいさつに立った同友会の先輩社長による祝辞でのこと。
「皆さん、入社おめでとうございます」の言葉に続いて、こう述べられました。
「皆さんが入ったのは大企業ではありません。しかし中小企業の方がいいところも一杯ある」
さて、この中小企業の方がいいところとは何でしょうか。あらためて、じっくりと考えてみます。
大企業のいいところ、これはすぐに見つかります。
知名度の高さ、給与・福利厚生の手厚さ、環境の良さ、安定性、などがよく言われるところです。
しかし、これらの長所は中小企業には実現不可能なのでしょうか。
答えは「ノー」です。
私が経営を学んだ木村塾で教えられたのは「社員1人当たり」という物差しでした。
1人当たり利益、1人当たり給与、1人当たり自己資本。
そのような尺度で計ると、大企業に負けない中小企業はいくらでもあります。
規模を追うのではなく、1人当たりの中身を充実させること。
実際に私たちが目指しているのも、この方向です。
そういう意味では、「分母が小さい」中小企業は働き甲斐を感じやすいと言えそうです。
自分一人の影響力がとても大きいし、実感しやすい。
しかし人数を増やさないからこそ、少人数で仕事をカバーし合うことが大事です。
この4月にいよいよスタートした「成長シート」の考えが、これに通じます。
成長シートの作り方を教えてくれた松本順市先生(成長塾)の言葉を思い出してみます。
中小企業の「いいところ」がたくさん語られていました。
・ 一度しかない人生だから、目標は高くする。賃金は成長の後からついてくる。
・ 入社の時に言っておくこと。
『あなたが優秀なら、まずはプレーイングマネージャーに、そしていずれは経営層にステップアップしてもらう』
『最終的には経営者と一緒になって、この企業を成長させてもらう』と言うこと。
・ 終身雇用するなら『お願いだから経営層まで成長してね』と最終的なゴールを示す。
成長した社員はいずれ一般職を卒業する。
・ 高い目標設定があってこそ人は成長する。これが言えるのは中小企業だけ。
大企業になると50歳、55歳などで役職定年となり、賃金が下がるもの。
・ 大企業はその分野の大きなパイをすでに刈り取ったので、それ以上成長する余地が小さい。
しかし中小企業はこれから成長する。会社も社員も『伸びしろ』が大きい。
・ 『大企業よりも我が社の方がいい』と確信してもらって入ってもらう。ずっと成長できる。大手より中小の方がいいところが一杯ある」
まさに中小企業は会社自体がこれから成長していく過程にあります。
だから自分一人の能力を高めるのはもちろんのこと、部下や後輩に教え、共に成長していくこと。
いたずらに人数を増やさないのだから、なんでもやって成長してもらう。
なんでもできる社員ばかりだから、長期の休みも安心して取れる。そんな組織になれば強くなる。
この4月は昇給月ですが、10年後の坂元鋼材の給料総額をシミュレーションしてみました。
社員の一人ひとりが成長し、そして昇給します。
すると、このまま同じ人数だったとしても人件費の増加額は一千万円を軽く超えます。
10年後はいま20代の社員が30代に、30代が40代になります。
生活設計からしても、当然にもっともっと高い報酬を持って帰ってもらわねばなりません。
そして、それでも会社はキチンと利益を出し、納税をします。
さらに将来への備え(内部留保)もし、新規の設備投資も出来る経営状態を維持せねばなりません。
だから我々は不断に成長し続けなければなりません。
飛行機と同じように成長のエンジンを止めれば落ちてしまう。それが会社というものです。
実際に過去を振り返ってみると、会社の収益力、財務体質は年々向上してきました。
業界に占める存在感も徐々に大きくなりました。
リーマンショック後の苦境から完全に脱し、新たな成長段階に入ったのがいまの坂元鋼材です。
先日の合同入社式でのこと。立食パーティで新入社員たちが壇上で一人ずつ抱負を述べました。
とある会社の新入社員が発言しました。
「世の中には大企業と中小企業があるのではない。いい会社とそうでない会社があるのだ」
これは名言でした。すごい新人さんです。まさにその通り。
昨年の求人活動で当社が紹介文の締めくくりで使った言葉を思い出しました。
「いい会社はどこにもない。それは皆で力を合わせて作るもの」――。
坂元鋼材は船長と乗組員あわせて14人の船です。
仲間との関係性を良くし、一生懸命に働き、教えあい、そして成功の航海に乗り出すこと。
船の大きい小さいに特別の意味はありません。
新年度もスタートを切りました。
業績も良く働き甲斐も感じられる組織を目指して、今期ももっともっと自分を、そして会社を磨いてまいりましょう。
よろしくお願いします。
2017年4月25日
坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三