立場的リーダーと能力的リーダー [給料袋メッセージ 190]

【立場的リーダーと能力的リーダー】

 

きょうは給料袋のメッセージを書きました。

3年前にコロナが始まったころ、当社に2人の若者が入社しました。

熱心に仕事に打ち込み、頼もしく成長してくれました。

彼らとの3年間を振り返りました。

[通算190号]

 

 

 

 

 

 

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社員の皆さん、ご家族の皆さんへ

 

長かったコロナ期間がようやく明けてきました。

この3年間、当社にとって最も大きな出来事は

小島君と白濵君の入社とその後の活躍でした。

 

2020年4月に高校新卒で入社した2人。

緊急事態宣言が発せられて

世の中が浮足立っていた時期の社会人スタート。

 

オンラインの朝礼や勉強会も実施しました。

社員旅行は3年間見送り、社内イベントも中止続きでした。

それでも彼らは仕事に余念なく、着実に成長してくれました。

 

このほど私が営業用ホームページに毎月書いている社長ブログで、

彼らにインタビューしました。

この3年間を振り返ります。

 

■ 「人に恵まれた職場です」 

 (白濵君に聞く)

 

入社して丸3年。

周りの友人はわりと辞めたりしているのに、

自分は続けることができてよかった。

 

お手本になる先輩が多い職場です。

工場長の前さんは最強。

すべての機械を扱えて、事務所でも活躍。

何においても頂点に立つ存在です。

 

高校時代のバイトでは自分の方が先輩より仕事が早くできた。

すると先輩の言うことは耳に入らなかった。

でも前さんはさすがです。

ザ・工場長。目指すべき目標です。

 

大石先輩はかっこいい。

河野先輩は面白いし、気遣ってくれます。

三宅先輩は優しく、真面目。

吉山さんは、遠くにいても見守ってくれる存在です。

人に恵まれた職場です。

 

[工場長(前)から白濵君へ]

 

朝早くから加工機を掃除し、

休み時間でもトラックの練習をしている。

向上心の強さを感じます。

 

レーザー担当として少人数のなか人に頼らず

仕事をこなしてくれました。

順調に成長してくれて、嬉しい。

 

[先輩社員(大石)から白濵君へ]

 

レーザーの製品を片付ける時の手際の良さ。

それは片付ける音を聞いてもわかります。

高校時代にバスケで鍛えたフットワークの軽快さを感じます。

 

これから人に教えていくチャンスが出来れば、

さらに成長するでしょう。

 

手すきの時に配達に行き、隙を見てガス溶断を勉強している。

2人とも早朝から出てきて仕事の準備をする姿勢も素晴らしい。

 

■ 「自分の能力に限界を作らず」 

 (小島君に聞く)

 

3年間「くそまじめ」に仕事が出来て、よかったです。

頑張る姿勢が自分を作っています。

育ててくれた両親に感謝しています。

 

3年目は腰痛に苦しみました。

養生のために工場から事務所へ配置転換してもらいました。

社員の皆さんにその体制を作っていただき感謝しています。

仕事にさらに打ち込みました。

 

前さん(工場長)が言いました。

 

「仕事が出来る人は分単位で考える。出来ない人は30分単位、1時間単位だ」

「その道の専門家の8割までは努力で追いつける」

 

だから事務所でも専門担当の人の8割に早く近づくことを目指しました。

 

坂元鋼材は少数精鋭の組織です。

だから自分の能力を限定せず、

他の分野もカバーする社員に絶対になります。

 

前さんのように全分野をカバーすることが目標です。

 

いまは配達体制の拡充に全社で取り組んでいます。

担当スタッフとして日々トラックでお客さんに商品を届けています。

お客さんとじかに接することも仕事の喜びです。

 

[先輩社員(三宅)から小島君へ]

 

プラズマ担当として加工機を深く知ろうとする姿勢がすごかった。

 

一度、大きな製品で立て続けに寸法不良が出ました。

「たんなる熱歪みではないか?」と社内の誰もが思いました。

ところが小島君は機械の細部まで点検し、不具合を発見しました。

向上心の高さを感じました。

 

中型免許(自動車)を取ったときも、

2人で昼休みに自主練習です。

 

早々に一人で配達に行く姿勢にもガッツを感じます。

対応が丁寧で、お客さんにもかわいがられています。

 

[工場長(前)から小島君へ]

 

新人には「一生懸命さ」があるかどうかを見ています。

2人とも朝出て来るのが早い。

手を抜かずにキッチリやる姿勢。

この精神を養うのが難しいのに、最初から出来ている。

しかも3年間変わらない。これが凄いこと。

教えるのがこんなに楽な新人はいない。

 

■ 10年後の私

 

会社では社員一人ひとりが「5年後・10年後の私」

のビジョンを描きます。

 

会社に経営ビジョンがあるように、個人にも人生ビジョンがある。

2人のそれを聴きました。

 

[白濵君]

 

10年後・・・。

お金はちゃんと貯めておきたい。

20代で1000万円が目標。毎年100万円で可能です。

いまは漠然と貯めていますが、結婚するときに必要です。

 

倹約家の家庭で育ちました。

グローブを買ってもらったのに野球をしなかったら

「グローブ代を返せ!」と父。

メガネを壊したら、お小遣いで弁償させられました。

おかげで浪費をしない癖がつきました。

 

高校時代に簿記3級を取りました。

就職しても使える資格だからです。

数字も好きです。

 

10年後は前さん(工場長)のような万能選手になっていたい。

レーザーは完璧、プラズマ・ガス溶断、ボール盤。

どの部署でも入れるように。

 

まだ人に教えた経験がありません。

後輩が出来たら、ちゃんと教えれる人になりたい。

機械や鉄鋼の知識、語彙力もまだまだです。

いずれ人に教えることを目指して能力を鍛えたいです。

 

[小島君]

 

社長から「自分が成長した分しか人に貢献できない」

と聞かされました。

そのためにも、まず自分の能力を高めたいと思っています。

 

目指すのは「向上心ナンバーワン」。

10年選手になっても、どん欲に学び続ける社員になります。

先輩たちに追い付き、追い抜くくらいの気概を持ちます。

 

仕事をしているとスキマ時間があります。

さぼろうと思ったら一瞬で時間は流れます。

 

そこで努力する人とそうでない人は、

大きな差が生まれます。

その努力が出来る人間になりたい。

 

任された仕事をやるのは当たり前です。

 

それだけでなく掃除、ちょっとした手伝い、雑務に気持ちが現れます。

小さなことでも自分から率先してできる社員でいたいと思います。

 

■ 全員がリーダー

 

まだ二十歳そこそこの若者の言葉に心洗われる思いです。

 

彼らを見ていて思うのは「能力的リーダー」という言葉です。

 

リーダーを2種類に分けて考えると、

立場的リーダーと能力的リーダーがあります。

 

立場的リーダーとはいわゆる肩書のある人。

会社で言えば社長であり、工場長。

 

いかにも先頭に立って

組織を引っ張っているイメージがあります。

 

では、ほかの人はリーダーではないのかというと、

そうではありません。

 

朝早く出社する

仕事の段取りを考える

整理整頓・掃除

ごみが落ちていたら拾う

「おはようございます」と自分から挨拶する

与えられた職責に全力を尽くす

人が困っていたら助けに行く

スキマ時間を生かして学ぶ・訓練する

報連相を怠らない

感謝の言葉を常に口にする

いつもベストを尽くす

 

ここで白濵君や小島君が語ったことそのものです。

 

彼らは最も年次が若く、

肩書や役職があるわけではありません。

 

しかし会社(組織)に対して

なんと肯定的で前向きなエネルギーを与えていることか。

これこそが「能力的リーダー」です。

 

肩書や役職ではなく

一人ひとりが組織の目的・目標に対して

肯定的な影響力を発揮すること。

 

全体を考えて自分のポジションをまっとうし、

組織全体を勝たせる思考と行為が出来る人。

それが能力的リーダーです。

 

つまり全員がリーダー。

それが私の理想とする精鋭ぞろいの強い組織です。

最年少の社員2人がそれを具現してくれていることに

心から感謝しています。

 

「人間の素質とは素直さと向上心である」

 

彼らを見ていると、この言葉が思い浮かびます。

 

社員一人ひとりの成長が会社発展の原動力です。

彼ら2人はダイヤモンドの原石。

ゆくゆくは会社を背負って立つ素質が明らかです。

 

彼らとともに歩み、組織として成長していきます。

 

2023年3月24日

坂元鋼材株式会社 代表取締役 坂元正三

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▲鉄鋼新聞 2023年3月10日掲載