日本レーザーの近藤社長の勉強会に参加して

■トラブル(理不尽・不条理)は自分を磨く砥石!

 

 7/22。日帰り上京で「アチーブメント・クオリティカンパニー倶楽部」の勉強会へ。講師は近藤宣之氏(株式会社日本レーザー社長)。「大逆転経営」=債務超過から苦難を乗り越えⅤ字回復=20年間連続黒字をつくる社員の主体性を引き出す仕組み=と題したもの。留守を社員に任せ、滞在5時間のぜいたく往復でしたが、収穫がありあまるほどの上京でした。

 

 大手企業の社員として子会社の「日本レーザー」に天下りで社長に就いた近藤氏。ところが当時(バブル崩壊直後)、会社は2億円近い債務超過状態でした。再建を託されたものの、苦難とトラブルの連続でした。しかし近藤氏のリーダーシップのもと翌年から黒字転換し、以来21年連続の黒字。いまは実質無借金。2011年「日本で一番大切にしたい会社」中小企業庁長官賞(第1回)を受賞されるほど、社員が幸せな会社として注目の企業です。その秘密は何か。
 今日は充実の2時間の講演。そのなかで「社員のモチベーションを高めて業績を上げる数々の仕組み」を伝授していただきました。その極意は「社員の成長が処遇と昇給に直結する評価制度の構築」そして「社風(コミュニケーション)の大切さ」と理解しました。とにかく社員のモチベーションを上げることに全力を挙げられます。
 その究極は、大企業の子会社だった同社が、大きな決断の末に親会社のもとを離れて独立したことです。「子会社のままでは結局は社員を大切にできない」ことに気づかれます。常に親会社の顔色をうかがうことになる。言いなり、であり植民地。親会社から絶対的に天下ってくる社長・役員の存在は、子会社の社員の心の中に決定的な壁を作ってしまう。モチベーションを上げようにも上げるべくもない。とはいえ近藤氏自身も親会社から降りてきた社長。あるとき、子会社である自社の社員が近藤氏のことを「そのような存在」(いずれは親会社に戻り、ステップアップのために降りてきた社長)と見ていることを知ります。そのとき同氏は、このまま(この意識のまま)では会社を立て直すことは出来ない、と悟られます。そして親会社の出資の大部分を返し、そして社員持ち株制度を作り、ご自身はサラリーマンでありながら個人で債務保証までされました。まさに背水の陣。このご姿勢に社員が奮い立ったものと思われます。その結果が、21期連続の黒字、無借金、日本で一番大切にしたい会社なのです。まさに近藤社長の信念が形になったのだと思いました。

 

【きょう響いた言葉の数々】
・ 企業は何のために存在するのか。社員を雇用すること。社会のお役にたつこと。だから利益は目的ではなく「存続への条件」。
・ 強くなければ存続できない、人を大切にしなければ存在する価値がない。
・ 先ずES(従業員満足)があり、そしてCS(顧客満足)。社員の犠牲の上に立った顧客満足はだめ。それが恒常化すればブラック企業になる。存続できない。
・ 目に見えない社風と理念。そして、目に見える人事と制度。(無は有の原点)
・ 本人の成長をドライブする賃金制度。それには納得性、透明性が大事。
・ 対人関係対応能力は極めて重要。挨拶(あ・い・さ・つ)。あかるく、いつも、さきに、つづけて一言(相手を慮って話を聞くこと)。お互いに関心を持つことの大切さ。これが組織の風通しの良さにつながる。一緒にいて楽しいこと。それは性格ではなく「能力」。
・ コミュニケーションの大切さ。私語の勧め。さりげない会話が組織を活性化させる。だから社内の「まじめな私語」を勧める。
・ 3大銀行を招待しての事業計画発表会。いまは実質無借金だが、いざという時のために信頼関係を醸成しておく。夢と希望を社長が銀行に直接語り続ける。アピールする。
・ 社員へのおもてなしを徹底。会社負担でパーティ、社員旅行、忘年会。掃除のおばさんも招く。辞めた社員も参加したくて2次会に来るほど。(どれほど良い社風か、このエピソードだけで良くわかる。)
・ 若者には「3年間は辞めるな」とメッセージする。不条理なことがあっても辞めるな。「トラブルは自分を磨く砥石だ」
・ 社長の理想を体現してくれる「ロールモデル社員」は依怙贔屓するし、引き立てる。存在そのものに価値がある。
・ 社員の究極の成長とは何か?「目に見えないものの成長」であり、これを心掛けると運が良くなる。生涯感謝をしつつ生きる。生涯自分を磨き続ける。生涯人のお役にたつ。
・ 理不尽なことはあなたを磨く砥石。経営者はいつもさまざまな理不尽なことの矢面に立たざるを得ない存在。だから一番磨かれる。
・ 「気づき」(トラブル)が来たら先ず感謝。あらゆる出来事が成長への糧。
・ 不安に思えば運は良くならない。

 

 近藤氏は親会社に勤務していた20代後半の若いころ、労働組合の委員長を務める経験を持っておられます。だからこそ働く者の立場、視点、モノの考え方を熟知されています。だから社員がどのようなことにモチベーションを上げ、そして下げるのかを皮膚感覚で理解されておられるのだと思います。社員としてのものの考え方、そして経営者としての大局的な見方。この「偉大なる融合」が日本レーザーという会社に結実していると思いました。
 「丁度いいところの意思決定が大事」と近藤社長。あまりにもの家族主義、行き過ぎたドライ、その両極を排するその意思決定は「偉大なる中庸」とも言えます。そして人間社会の原理原則に従った極めて合理的な経営。だからこその好業績、だからこその社員の幸せな会社。「こんな社長になりたい!」(こんな経営をしてみたい!こんな会社にしたい!こんな風に人生を生きたい!)
 心底からそう思いました。
 アチーブメントの青木社長は「経営者の哲学が仕組みとなって完成している」と評されました。本当にうなづかされました。締めくくりに青木社長が紹介された松下幸之助氏の言葉が、きょうの講演会を象徴していました。「経営は総合芸術」。
 本当に素晴らしい学びを頂いた一日でした。また一つ、目指すべき方向性を授けられました。感謝。